AI映像認識技術で、クマを映し出したモニターを「クマ」と判別した実証実験。人が入ったクマの着ぐるみは「テディベア」と認識した=秋田県五城目町で2024年11月12日午後2時16分、高橋宗男撮影
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 昨年、全国的に相次いだクマによる人身被害を踏まえ、無人航空機(ドローン)と人工知能(AI)技術を組み合わせてクマを検知するシステムを、秋田県などのドローンスクールでつくるグループが開発中だ。災害救助支援用に開発したAI映像認識技術を応用し、2026年春までの実用化を目指している。

 AI映像認識技術では、通常の可視カメラや熱を感知する赤外線カメラの機能を活用し、映像を分析することで人を識別する。例えば災害時、がれきに埋もれた体の一部だけが出ているケースでも、映像から要救助者を見つけ出すことができるという。

 ドローンの産業への活用や操縦技術の講習をしている「Dアカデミー東北」(秋田県五城目町)や系列スクールでつくる「Dアカデミー害獣対策小委員会」はこうした技術を元に、人の代わりにクマを検出できるよう、AIに学ばせた。

 12日に五城目町で行われた実証試験では、可視カメラや赤外線カメラを搭載したドローンを上空約30メートルに飛ばし、茂みに隠れたり、箱の中から手足を出したりするクマの着ぐるみ、モニター上に映したクマの映像を、それぞれどのように認識するかを確かめた。

 その結果、AIはこれまでの学習結果を基に、着ぐるみを「テディベア(ぬいぐるみ)」、クマの映像はクマと認識した。ただクマを部分的に隠した映像の場合はネコと判別するなど、精度に課題を残した。

 これまではAIの深層学習(ディープラーニング)のため、主にインターネット上の資料を使ってきたという。今後は北秋田市のクマ牧場「くまくま園」などに依頼し、実際のクマの生態をディープラーニングに生かし、さらに精度を高めたい意向だ。

 実証試験を担当したスクール講師の小林一昭さんは「住宅街にクマが出没するケースなどで、AI技術を組み合わせてどこにいるのかを上空から見つけ出すことに生かせるのではないか」と話した。【高橋宗男】

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