都内クリニック 患者数が先月比2倍に
リンゴ病と呼ばれる「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」は、ウイルス性の感染症で、多くの患者は発熱などかぜに似た症状と、ほおなどに赤い発疹が出ます。
東京・杉並区のクリニックでは、今月に入り幼児など20人がリンゴ病の症状を訴えて訪れていて、患者数は先月に比べ2倍以上に増えています。
リンゴ病と診断を受けた4歳の女の子は、両ほおが赤く染まり、腕も網状に赤くなっていました。
女の子の母親
「数日前からほっぺが赤く腫れてきて、熱が37度くらいまで上がってきました。初めてかかったのと、はやっていると聞いたのでなおさら心配でした」
リンゴ病に感染すると子どもは微熱が出る程度ですが、妊娠初期の女性では流産や死産のおそれがあります。
子どものころに一度感染すれば免疫ができますが、女の子を診察した「たむら医院」の田村剛院長によりますと、ここ数年はコロナ禍の行動制限で子どもたちがウイルスに触れる機会が少なく、今、感染が拡大しているとみられるということです。
できる対策は
田村院長は「リンゴ病はワクチンもなく潜伏期間も長いため、感染拡大を止めるのが難しい。やれることは限られるので、きょうだいがいる家庭では食器や食事の共用を避け、手を洗って感染しないようにしてほしい」と話しています。
さらに、ことしはマイコプラズマ肺炎の患者が例年より多く、今後、インフルエンザや新型コロナウイルスなど、ほかの感染症の流行が本格化するシーズンを迎えます。
たむら医院 田村剛院長
「マスクを着用し小まめに手を洗うことが重要です。冬になって寒くなり部屋の空気を入れ替えるのも難しいかもしれませんが、できる限り換気もしてほしい」
今月に入り患者急増
国立感染症研究所によりますと、リンゴ病は今月に入り患者が急増しています。
全国およそ3000の小児科の医療機関から報告された今月11日からの直近の1週間の1医療機関あたりの平均は0.56人です。前の週のおよそ1.5倍となっていて、全国的に感染が相次いでいた2020年1月以来の水準です。
地域別では東京が最多
都道府県別の1医療機関あたりの患者数は、東京都が1.93人と最も多く、埼玉県が1.92人、神奈川県が1.44人、千葉県が1.29人、青森県が1.14人などと、首都圏や東北地方を中心に感染者が増えています。
このうち東京都では、今月17日までの1週間の患者数が、6年前の2018年12月以来、警報の基準を超えました。24日までの1週間では、都内264の医療機関から報告された患者数は438人で、前の週よりおよそ70人減少したものの、先週に続いて警報の基準を超えているということです。
都の担当者は「祝日があったため休診した医療機関もあり数は減少したものの、ピークアウトしたとは言えない」としています。
約20種類の感染症データ・情報
長崎大学病院小児科 森内浩幸教授
「およそ4年ぶりに流行の兆しを見せている。前回の流行のピークにはまだ達していないので、今後さらに全国的に感染が広がっていく可能性はある。
リンゴ病の患者が周囲にウイルスを広げる時期は、ほおが赤くなりリンゴ病だと分かる前なので、予防には日頃から手洗いを徹底し、人が集まる場所ではマスクを着用することが重要だ。
特に妊婦が感染すると、胎内で重度の貧血を起こし、流産や死産につながるおそれがある。このあと、インフルエンザの感染が広がる時期でもあるので、基本的な感染対策を徹底してほしい」
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