厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 厚生労働省は4日、医療費が高額になった時に患者負担を抑える「高額療養費制度」の自己負担限度額を一律で5~15%引き上げた場合の試算を公表した。給付費は3600億~6200億円の削減につながり、保険料軽減効果は2600億~4300億円に上る。厚労省は物価や賃金上昇に伴って自己負担限度額を引き上げる方針で、今回の試算を参考に年末までに上げ幅を決める方針だ。

 高額療養費制度は、手術や入院などで1カ月の窓口負担が急増した場合、限度額を超えた分が払い戻される仕組み。2015~23年の間に、消費者物価指数が7・5%、世帯収入が15・9%上昇した点などを踏まえ、引き上げ幅を5~15%として試算した。

 現行では、70歳未満の人は五つの所得区分ごとに自己負担限度額が定められており、真ん中の所得層(年収370万~770万円)の限度額は8万100円だ。厚労省はこの所得区分を細分化する方針。今回の試算では、最も低い所得区分である住民税非課税世帯を除く所得区分を細分化し、全体で13区分とした。

 全ての区分で一律に5%引き上げると、1人当たりの年間保険料は600~3500円軽減される。15%だと1200~5600円になるとした。【阿部絢美】

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