新幹線の調査報告を巡り宮崎県議会総務政策常任委員会で質疑が交わされた=県議会で2024年12月4日午前11時25分、下薗和仁撮影

 東九州新幹線の整備を目指す宮崎県は4日、費用対効果などを試算した調査報告書を県議会常任委員会に報告した。九州新幹線新八代駅(熊本県八代市)から分岐して宮崎市と結ぶ「新八代ルート」を宮崎県延岡市まで延伸した場合、整備費用が2兆1961億円に上るとする一方、延岡―博多間で2時間27分の時間短縮効果が得られると試算している。

 県は11月末の県議会一般質問で、新幹線導入で宮崎―博多間を最大約2時間半短縮できるとする試算を明らかにしていた。報告書では、延岡、都城両市を起点にした場合の試算などもまとめた。

 延岡から博多まで向かう場合、従来は特急を使っても4時間14分かかっていた。これに対し、新八代ルートの新幹線で延岡―宮崎―新八代を結べば、1時間47分にまで短縮できるとした。

 このルートで都城から出発した場合は1時間6分で博多に着くと試算した。現在は在来線で鹿児島まで向かう必要があり、3時間16分かかっていた。

 県は北九州―鹿児島の「日豊線ルート」と、同ルートの宮崎―鹿児島を先行整備する「鹿児島中央先行ルート」の2ルートも検討している。延岡と博多を結ぶには日豊線ルートの方が移動距離は短く、報告書では新八代ルートについて「県北部への時間短縮効果は限定的」とも指摘した。

 また報告書では輸送密度(1キロあたりの1日平均旅客輸送人員)もまとめた。日豊線ルート1万2416人▽新八代ルートが8710人▽鹿児島中央先行ルート5701人――だった。

 報告書は「特定ルートへの絞り込みの検討は想定しない」などとしているが、常任委員会では県議から質問が相次いだ。河村直哉総合交通課長は「各県で連携して日豊線ルートを求めていくことに変わりはない」と答えた。【下薗和仁】

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