来年度の税制改正で最大の焦点となっている「年収103万円の壁」の見直しをめぐり、国民民主党は17日の税制協議で、与党が所得税の控除額をすでに示した123万円からさらに引き上げる案を示さなかったことに反発し、物別れに終わりました。
こうした中、自民党の宮沢税制調査会長と公明党の赤羽税制調査会長ら両党の税制調査会の幹部が対応を協議しました。
そして、来年度予算案の編成作業が大詰めを迎える中、判断を急ぐ必要があるとして、「103万円の壁」の見直しについては、国民民主党に示した内容に沿い、所得税の控除額を20万円引き上げて123万円にすることを、20日にもまとめる来年度の税制改正大綱に明記する方向で調整することになりました。
所得税の控除額20万円の引き上げは、基礎控除と給与所得控除、それぞれ10万円ずつ行い、年末調整で対応する形で来年から実施したい考えです。
また、住民税の控除額については、基礎控除は据え置き、給与所得控除を、現在より10万円引き上げる方向です。
さらに、大学生などを扶養する世帯の税負担を軽減する「特定扶養控除」の年収要件は、国民民主党の要望を踏まえ、今の103万円から150万円に引き上げる方針です。
このほか、去年、縮小する方向を示し、この年末に結論を得るとしていた高校生などを扶養する人の扶養控除は、公明党の意見も踏まえ、来年以降に結論を先送りすることになりました。
与党側は、国民民主党の対応をぎりぎりまで見極め、最終的な方針を決めることにしています。
自民 宮沢税調会長「今後の取り扱いは幹事長などの判断」
自民党の宮沢税制調査会長は、記者団に対し、来年度の税制改正大綱について「公明党とあす最終的に協議し、あさって党の税制調査会の会合などで報告する。今の段階で私からは何も申し上げない」と述べました。
そのうえで、国民民主党との協議について「私のレベルでは、再開うんぬんという話は一切聞いてない。基本的に今後の取り扱いは、政務調査会長や幹事長の判断だろうと思っている。税制関連法案と予算案を来年の通常国会でどう成立させるかは、幹事長とよく相談しながら、基本的には幹事長の判断に従いながらやっていく」と述べました。
国民 浜口政調会長「与党側の新提案なければ協議再開難しい」
「年収103万円の壁」の見直しをめぐって、17日の自民・公明両党と国民民主党の税制協議では、与党側がすでに提示した所得税の控除額を123万円とする案よりもさらに引き上げる案を示さなかったことに国民民主党が反発し、物別れに終わりました。
これについて国民民主党の浜口政務調査会長は、18日の記者会見で「国民の期待や民意に応える水準には到底至っていない。きょうに至っても与党側から私の方には何らアプローチはない」と述べました。
そのうえで「与党側から新しい提案がなければ、協議の再開は難しい。ボールは与党にあり、ちゃんとした姿勢や提案が示されれば、協議を再開する可能性はゼロではないが、それがなければ、先に進めることはできない」と述べました。
国民 玉木氏「見切り発車であれば来年度予算案 賛成できない」
役職停止中の国民民主党の玉木代表は記者団に対し「今の国民生活や納税者の現状を考えたときに、所得税の控除額は、与党案の123万円というレベルではとても足りない。与党側に歩み寄りの余地があるのであれば、われわれはすべてを否定して交渉に応じないということではないが、現時点では何もない」と述べました。
そのうえで「それでも見切り発車するということであれば、それを前提とした来年度予算案には賛成できない。われわれとしては、選挙で約束した政策の実現に最後まで取り組む」と述べました。
また玉木代表は東京都内で講演し、「自民党と公明党が123万円という所得税の控除額を税制改正大綱に書いて決定することになると思う。『178万円を目指す』とした3党の幹事長間の合意が無視される形となるのは、残念というか、驚きだ」と述べました。
そのうえで「今年度の補正予算は成立したが、来年度予算案は簡単ではないと思う。少数与党なので協力しているが、その関係が崩れてしまうと単なる少数与党になるので、2月末から3月初めの来年度予算案が衆議院を通過する頃のやりとりは、大変なことになる」と述べました。
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