タンタンの追悼式で献花する人たち=神戸市灘区の市立王子動物園で2024年5月10日午後2時53分、梅田麻衣子撮影
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 神戸市灘区の市立王子動物園で24年近く愛されてきたジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」(雌)の追悼式が10日、同園で開かれた。ファンや日中の関係者ら約160人が参列し、園での思い出を胸に献花をして別れを告げた。

 タンタンは4歳だった2000年に日中共同の「繁殖研究」を目的に来園。阪神大震災(1995年)からの復興のシンボルとなり、市民から深く愛された。2020年が貸与期限だったが、新型コロナウイルスの感染拡大や心臓疾患の治療で5度延長していた。3月末、28年の生涯に幕を閉じた。国内最高齢で、人間なら100歳近くに相当する長寿だった。

 死後に園に設置した献花台には、約5000人から花が寄せられた。追悼式への一般参加にも100人の枠に県内外から約4000人が応募するなど人気ぶりを示している。

 式には、ファンたちが写真入りのTシャツを着たり、グッズを手にしたりして参列し、涙を見せていた。在りし日の映像の上映後、飼育員らが追悼のことばを送った。近くのこども園の園児らが別れの歌を披露し「タンタン、王子動物園に来てくれてありがとう」と大声で呼び掛けた。

 タンタンをみとった飼育員の吉田憲一さん(55)は「子どものような存在だった。ブラッシングをしている時が楽しかった。今日で区切りをつける」と話した。

 京都府長岡京市から訪れた会社員、上村智慧子さん(35)は親族が震災で被災し、自身も揺れを体験しただけに、街の復興ととも歩んだタンタンへの思い入れは強いという。「冒頭から泣いてしまった。足の短いところが可愛くて、いつも寝そべっている姿が印象的だった。本当にありがとうという気持ちを伝えたくて参列した」と語った。

 11日から園内の動物科学資料館で、写真や映像、ゆかりのグッズなど約120点を紹介する追悼展が始まる。タンタンにまつわるパンダ研究の概要や来日時に入っていたケージなども紹介される。【栗田亨】

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