『美しい日本の言霊』藤原正彦著(PHP新書・1210円)
今、ちょっとした昭和歌謡ブームが起きています。若い歌手による往年のヒット曲のカバーやCMにそれと気づかず流れるBGM、ユーチューブで日本の歌を聞いて涙を流す外国人の姿等々。
本書は歌謡曲を愛する数学者・藤原正彦氏渾身のエッセー。著者いわく「日本の歌謡曲の情緒の深さは、世界でも断トツ。若者や外国人がやっと魅力に気づいた」。とくに昭和の歌は童謡・唱歌も含めて歌詞が高度で、欧米にはまねできないといいます。
理由の一つは、本書で紹介する西條八十や武島羽衣のように、当代一流の詩人、国文学者が作詞を手掛けたこと。まさに歌詞が「詩」なのです。
歌えば辛い日常を忘れ、苦しみから立ち直れる、という著者。唯一の悩みは、お気に入りの歌を繰り返していると奥さまから入る「うるさーい!」の一喝でした。でも負けじと続けるうちに、歌唱力の成長で(?)お小言が減ったそう。恐るべし、昭和歌謡の力。(PHP研究所ビジネス・教養出版部 白地利成)
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