(18日、広島4―3巨人)

 8度目の登板で、ようやく手にした今季初白星。広島東洋カープの九里亜蓮は、「なかなか勝てなくて、苦しかった。みんなに勝たせてもらった勝ちだと思う」。感謝の言葉を何度も並べた。

 満足できる投球内容ではなかった。毎回安打を浴び、先に2点を失った。逆転してもらった直後の六回1死三塁で降板した。だが、そこからチームメートが奮起する。救援の森浦がピンチを切り抜け、4―2で迎えた九回は栗林が1点を失いながらも踏ん張った。

 初めて開幕投手を務めた11年目の今季は、好投が白星に結びつかなかった。7度の登板でクオリティースタート(先発で6回以上を投げ、自責点3以下)が5度あったが、チームは計7得点。5試合で無得点と援護がなく、辛抱の投球が続いていた。

 開幕投手で未勝利はサイスニード(ヤクルト)と2人だけだったが、気にしていたのは自分の勝ち星ではない。登板日にチームは5敗2分けで、「チームの勝利に貢献できていないのが悔しい」と何度も語った。

 試合後、要所で踏ん張った仲間が口にしたのは「九里さんのために」だった。それを伝え聞くと、目を細め、「次は投球でかえしたい」と言った。(上山浩也)

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