陸上のサニブラウン アブデルハキーム選手(25)が所属するプロチームには、走幅跳の橋岡優輝選手(25)も所属しています。松岡修造さんがアメリカで橋岡選手に話を聞きました。
■37年ぶり快挙も…「悔しさが半端じゃなかった」
今シーズン初戦でいきなり8メートル28センチのビッグジャンプを見せた橋岡選手。世界選手権銅メダル相当の好記録です。普段、一番近くで見ているチームメイトのサニブラウン選手。実は2月に取材した際、こんなことを言っていました。
サニブラウン選手「本当に今年一番怖いですよ。誰も橋岡がどれだけ跳べるかわかってないんで、びっくりすると思いますね、皆。めちゃくちゃ才能がある」
サニブラウン選手も太鼓判を押す「成長」。一体、何があったのでしょうか?
その理由の一つが、このチームに入ったからこそ、気づけたことにあります。
橋岡選手「なんかインパクトがあったのは、世界一になるような選手は唯一無二の動きをしている。一人ひとりが武器を持っている。走り方ひとつをとっても、各々の体や骨格に合った走りをしていて、そのなかで突き詰めていって真似をしたとしても、これはその選手が持っている一番の武器で、及ばないというのを世界一になる選手はみんな持っている。『自分は何を持っている?』とも考えされられる」 松岡さん
「橋岡さん自身の一番の武器って何ですか?」 橋岡選手
「パワーと、そのパワーをジャンプ力に変える技術面の上手さが、すごく自分の武器かなって」
橋岡選手の「唯一無二」は、「踏み切り」の技術です!
助走の推進力を生かすも殺すも、この「踏み切り」にかかっています。その武器を携えて臨んだ東京オリンピックでは、37年ぶりの6位入賞。周囲はこの快挙にわきましたが、本人は全く違っていました。
松岡さん「自分の中では満足はないんですか?」 橋岡選手
「全くです。本当に悔しさが半端じゃなかった。従来の動きを突き詰めていっても、どうしてもどこかで頭打ちが来るだろう。それを突き詰めるためには、環境を変えて渡米してきたのにもつながってきますね」
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■リズムからスピードへ…大きな推進力を得る■リズムからスピードへ…大きな推進力を得る
この経験からアメリカへ渡り、新たな取り組みを始めました。それが…。 橋岡選手「もう、走り方からですね」 松岡さん
「走り方?」 橋岡選手
「はい。2022年シーズンまではタイミングをとるような走り方だったんですよ。緩やかな動きだったのがかなり鋭くなった。(変更前は)助走の20歩を、リズムを自分の中では1・2・3・4・5・6・7・8、1・2・3・4・5・6、1・2・3・4・5・6…という形でリズム分けしていたんですよ。(変更後は)スプリントになってるので、最初の助走をのせていく8歩が、12345678ぐらいの」
ポイントは最初の8歩。変更前の助走はリズム重視の助走でした。変更後の今の助走は、テンポが速くなっています。変更前の8歩のタイムは、2秒76。今は2秒03。およそ0.7秒、速くなっています。
最初から一気に加速することで、助走全体のスピードが格段に上がり、大きな推進力を得ました。
しかし、当然、慣れた踏切のタイミングとは違うので、合わせるのは至難の業です。この点について、本人はこのように話します。
橋岡選手「助走が大きく変わっても上手く応用できる(踏み切りの)技術力の高さは、自分の中で持ってる武器。時間はかかるかもしれないけど、どこかで自分のものになる。自分はまた強くなれるという自信がある」 松岡さん
「自分でやっていて楽しいですか?」 橋岡選手
「楽しいです。跳ぶのも大好きなので。やはり単純な動作だからこそ奥が深い。そこを突き詰めていく。正解がないというのもあるし、深さが無限大。ワクワクしています」
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■“再現性”高め、パリ五輪へ■“再現性”高め、パリ五輪へ
そして、取材から3カ月。19日に橋岡選手の今シーズン3戦目の試合を松岡さんが見てきました。4回目の跳躍。記録は7メートル97。ここからどんどん上げたいところです。続いての5回目は…。
松岡さん「8メートル40!?おっと、ファールでした…」
本人はどんな思いだったのでしょうか?
松岡さん「パリ五輪へ助走も含め、唯一無二の自分の走幅跳に向かっていると感じました」 橋岡選手
「やっと助走とかみ合ってきたというか、(速く)走れる中で踏み切れる感覚が得られるようになってきたので、そこがもっと深くわかってくれば、再現性も高まって記録もどんどん出てくると思いますし、パリ五輪も楽しみになってくると思います」
(「報道ステーション」2024年5月20日放送分より)
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