(27日、春季北海道高校野球大会準決勝 遠軽2―3クラーク国際)

 九回にエースの暴投で追いつかれ、迎えた十回表のタイブレーク、無死一、二塁。クラーク国際の守備陣は遠軽の投前バントを迷わず三塁で刺すと、4番打者を遊ゴロ併殺に。二塁手の山田陽紫(きよし)主将(3年)が笑顔でグラブをたたいた。

 打撃の育成に定評ある同校だが、この冬は守備練習が増えた。監督、部長らが一切口を出さず、選手が練習メニューを決めることにしたからだ。「自分たちは守備が弱い」。山田主将ら内野陣は低い捕球体勢といった基礎からやり直し、1日守備練習だけの日もつくった。

 北北海道勢同士の負けられない相手。十一回裏、クラークは投前に犠打をきっちり決め、1死二、三塁とすると、山田主将が左翼への犠飛でサヨナラ勝ち。逆風で球が戻される中、「走りながら祈るような気持ちでした」。

 「地道にコツコツとやった結果。うまく守ったかいがありました」。佐々木啓司監督は苦笑まじりに振り返った。クラーク国際は今年で創部10年。北北海道大会と秋の全道大会を制し、夏、春ともに2度の甲子園出場の同校だが、春の全道大会は3年前の準決勝敗退が最高戦績だった。守りも固め、初のタイトルに挑む。(古源盛一)

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