(2日、春季中国地区高校野球大会準決勝 倉敷商2―1広陵)

 倉敷商(岡山)は1点リードで迎えた五回、2死三塁とされて広陵(広島)の3番・土居湊大(そうた)(3年)を迎えた。倉敷商の梶山和洋監督は継投に動いた。「先発の和田(虎之介、3年)はしっかり投げてくれていたけど、土居君だけはちょっと話が違う」。左の大型打者に、左の増田勝利(3年)をぶつけた。

 増田は、土居と次打者を続けて四球で歩かせ、満塁にしてしまったが、梶山監督は「あいつは1人で『演出』するやつ。絶対切り抜けてくれる」と伝令は出さず「増田劇場」を見守った。

 「ポテンヒットで点を取られるなら、満塁にしてもいいと思っていた」という増田。迎えた相手打者を三振に取る。この後も8三振を奪って二塁を踏ませず、春秋通じて中国大会4連覇を狙った広陵の決勝進出を阻んだ。

 和田とともに1年夏から公式戦で起用され、2年連続で夏の岡山大会決勝でも投げた。ただ、昨夏は決勝終盤で逆転打を浴び、甲子園に届いていない。今春は大坪樹(3年)が抑え役として台頭してきた。

 「自分は球速を重視してきたけど、勝てる投手になるには打ちづらさが必要なのでは」と意識を変えた。磨いたのは、直球と同じ腕の振りから、縦に落とすスライダー。この日は最後の打者を、その球で三振に仕留めた。

 大役を演じきり「ほっとしてます」と力が抜けきった様子だった増田。梶山監督は「この試合を成長するきっかけにしてくれたら」と、さらに期待を高めている。

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