ドジャース・大谷翔平選手の口座から日本円で約24億5000万円を不正送金
した銀行詐欺の疑いで訴追された水原一平容疑者について、ネバダ大学でカジノ経営を学び、アメリカ大手カジノで内部監査職を務めた経験のある国際カジノ研究所の木曽崇所長が解説する「この事件のポイント」(2024年4月15日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)
――水原一平容疑者の事件で良く出てくる言葉「バンプ」、いわゆる「ツケ払い」というものですが、これは違法になりますか?
(国際カジノ研究所 木曽崇所長)いや、違法というわけではないですが、合法のスポーツベットでは通常行われない賭けのあり方です。前払いでアカウントにデポジットして、その中から使うというもので、こんな形でどんどん負け額が膨らんでいくのは、あまり見ない状況です。
――水原容疑者は、大谷翔平選手の口座からお金を勝手に盗んで賭博に使っていたとされますが、実は何度も勝っているんです。勝ったときは本人の口座に入っていたといいます。これはひどいようにも見えますし、もし依存症だとすると、これ一つの症状かもしれないなとも思うんですが、実はこの口座を分ける行為自体も、違法なんですか。
典型的なマネーロンダリング行為となる
(国際カジノ研究所の木曽崇所長)これも基本的にはあってはならないことで、禁止されている、もしくは発見した場合には「疑わしき取引行為」として、当局に報告義務があったりするようなものです。これは典型的なマネーロンダリング行為で、自分の名義のお金をぐるぐる回していくことができるので、それはできないように、通常は禁止されています。
――水原容疑者の違法賭博業者との最初の接点は何だったか、ということも今回の訴状で明らかになりました。「ポーカー大会があり、そこで胴元とされる人と知り合った」ということですが、木曽さんは「もしかしたら狙われた可能性もある」と指摘します。
(国際カジノ研究所の木曽崇所長)当初の報道、エンゼルス時代に胴元と知り合っているんですが、エンゼルスが試合前に使う「チームホテル」と呼ばれるホテルで行われたポーカー大会なんです。これは紹介制で、誰かが胴元の人を引き入れたってことは、要は水原氏より前に、すでに球団関係者にアクセスがあったというのが確実です。
「スポーツ関係者を狙うってことは、その先は八百長」
――もし、胴元とされる人物が水原容疑者を狙ったんだとしたら、どういう狙いがあったんですか。
(国際カジノ研究所の木曽崇所長)基本的に、スポーツ関係者を狙うってことは、その先にイカサマ、八百長だったり、そこまで視野に入れた勧誘行為だと思います。
――一般のギャンブラーが知り得ない情報、大谷選手は今日調子悪いよ、とかケガで明日の試合は出ない、とか、もしかしてそういうことをギャンブルにうまく利用できないか、そういう狙いがあった可能性はありますか。
(国際カジノ研究所の木曽崇所長)わざわざスポーツ関係者を狙うのはそういうことでしょう。球団の内部情報も、彼らにとっては価値がある情報。これ、エンゼルス球団内で、他の人にもアクセスしている可能性があるので、実は水原容疑者だけで終わらない可能性がまだあるんです。
のめり込む水原容疑者のような姿「負け追い」
――賭博業者とのやり取り。2021年9月に始まって、出てくる額も大きくなっていき、2022年末には3000万円頼むというやりとりがあります。「バンプ」いわゆるツケで払う、勝てば返せる。これはのめり込んでいくパターンですか。
(国際カジノ研究所の木曽崇所長)そうです。業界内では、こういう行為を「負け追い」といいまして、前に負けた金額を返すために、より大きな金額を賭けていくのは、雪だるま式に大きくなっていく典型例です。
――最初の掛け金は、実は10ドル(1500円)。最終的には2400万円位。これ、他の州の合法業者でギャンブルをやることはなかったのですか。
(国際カジノ研究所の木曽崇所長)アクセスは国内からできないです。アメリカ国内の各州は、別の州からアクセスができないようにしてあるので、そういう意味ではカリフォルニア州の人たちは、やるとしたら海外の業者にアクセス、そういう業者も一部あると思います。
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