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 パリオリンピック日本代表、柔道女子57キロ級・舟久保遥香選手(25)。

 実は8年前、「すごい高校生がいる」ということで松岡修造さんは、舟久保選手を取材しに行きました。しかし、東京オリンピックに出場することはできませんでした。

 舟久保選手が8年間苦しめられた原因は、彼女の武器「舟久保固め」にありました。

■国内外のジュニアタイトルを総なめも…社会人になるとパタリと勝てなくなる

 舟久保選手には、世界が恐れる武器があります。それが、決まり手の7割以上を占める(東京五輪後の国際大会)寝技です。舟久保選手は、世界屈指の寝技のスペシャリストなのです。 松岡さん
「パリ五輪出場。おめでとうございます」 舟久保選手
「ありがとうございます」 松岡さん
「僕にとっては、8年越しでございます」  実は、松岡さんが舟久保選手に前回会ったのは8年前。まだ舟久保選手が高校生の時でした。

 1日1000回の懸垂で鍛えたパワフルな腕力。それを生かしたオリジナルの抑え込み技「舟久保固め」を編み出すと、この寝技を武器に国内外のジュニアタイトルを総なめにします。

 しかし高校卒業後、社会人になると、パタリと勝てなくなった舟久保選手。東京オリンピックのメダルも期待されましたが、その舞台に立つことすらできませんでした。

パリオリンピック日本代表になるまでには、大きな挫折との戦いがあったのです。

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■体の使い方をイチから見直し…苦手だった立ち技にも本格的に取り組む

■体の使い方をイチから見直し…苦手だった立ち技にも本格的に取り組む

松岡さん
「東京五輪は、どうして出られなかったのかなと。出るつもりでしたよね?」 舟久保選手
「そうですね」 松岡さん
「みんなも勝てるつもりだった。何が起きましたか?」 舟久保選手
「“早く結果を出したい”という気持ちが強かったので、変わらなきゃいけないと思っていても変えられなかったんですね。東京五輪もありましたし、『五輪に出たい』と思って社会人に入ったので。とにかく結果が必要だと思って、結果ばかり求めてやっていましたね」

 「変わらなきゃいけないと思っていても変えられなかった」とは、どういうことなのか?それは、負けた試合によく表れていました。

 得意の寝技「舟久保固め」にいこうとするも決まりません。最大の武器だった寝技だけに頼るスタイルを捨てられず、勝てなくなっていたのです。

舟久保選手
「寝技だけで勝てていましたし、高校生の時は。社会人になっても、変えられない。高校生の時は、ある程度力があれば、どうにか通用したんですけど」 松岡さん
「強引に持っていけた」 舟久保選手
「うまさが、(相手が)社会人になると出てくるので。細かい技術ですよね、パワーがあっても柔道にいきるパワーというか、力を柔道に落とし込めていなかったり、“こんな技術もあるんだ!”って、知らないものがたくさんあったりしたので」

 そこで、体の使い方をイチから見直しました。力を抜くトレーニングなど、基礎から行います。力を抜くことを覚えることで、逆にキレを出すものです。

 また、腕だけに頼らず、体の中心から力を伝えるようにするトレーニングも行いました。培った腕力を柔道に生かすために、地道に取り組んでいます。

 さらに、畳の上で足りていなかった柔道の技術も磨きました。

舟久保選手
「寝技につなぐパターンが増えることが一番ですから」 松岡さん
「寝技につながるパターン?」 舟久保選手
「ただ自分が相手をつぶして寝技にいくだけじゃなくて、足技で崩して寝技にいく。担ぎ技で崩して寝技にいく。もしくは、投げて寝技にいく」

 実際に練習を見てみると、寝技を生かすバリエーションを増やすために、苦手だった立ち技にも本格的に取り組んでいました。

舟久保選手
「全くやっていなかった担ぎ技を教えてもらって、担ぎ技を何回も何回も。まずできないんですけど、考えながら何回も何回もやってできるようになってくると、“次はこうしよう”とか“これができるならこうもできる”とか、色んな幅が広がってきて。ベースがある中で、枝を増やせているかなって。私の強みの寝技が生きるために、担ぎ技だったり、色んな増やしてきたものだったりが生きてくるのかなと。色んな攻め方ができる、バリエーションが増えるということが楽しい」

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■相手を崩すパターン増え…本来の寝技でしとめるスタイルが進化

■相手を崩すパターン増え…本来の寝技でしとめるスタイルが進化

 その成果は、試合でも出るようになります。舟久保選手が大内刈で投げると、そのまま得意の寝技へつないでいきます。抑え込んで合わせ技一本です。

 別の試合では、足技で崩すと、そのまま腕をとって寝技へ持っていきます。足技も警戒させることで、相手を崩すパターンが増え、本来の寝技でしとめるスタイルが進化を遂げていたのです。

 ジュニア期待の星から8年。夢のオリンピックの舞台に挑みます。

舟久保選手
「考えが固執してしまうので、必死にやっていると。色んなことを知って、柔道と関係ないことでももっと色んなことを知って、自分を高めていけたらいいかなと思います。五輪金メダルは目指していきますし、パリ五輪までの期間でやったことを出し切ること。悔いのないように戦うのが一番の目標かなと思います」

(「報道ステーション」2024年4月15日放送分より)

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