日本時間5月31日、ノルウェーで行われたダイヤモンドリーグの男子100mで自身5度目の9秒台を出しパリ五輪代表に内定したサニブラウン アブデル ハキーム(25、東レ)。日本短距離界をけん引するサニブラウンが新たな大会「DAWN GAMES」を立ち上げた。イベント名の「DAWN」は夜明け、黎明という意味で、新しい時代や出発の始まりを象徴する言葉だ。「陸上界にとって新たなフェーズの夜明けや革命をもたらすような大会にしたい」という思いが大会の名前に込められている。

「日本の陸上界を盛り上げ、世界レベルと戦える水準まで引き上げたい」とサニブラウン が企画したこの大会は、小学生から高校生までの短距離が対象で、6月9日に大阪、6月29日に東京を舞台に東西の予選会が実施される。上位入賞者は秋頃に行われる決勝大会へ進出し、決勝大会の上位入賞者は“TEAM Hakim”のメンバーに選出される。メンバーの特典は未定だが、将来的には海外の競技会やサニブラウンの練習拠点など、最先端の技術を間近で見て、肌で感じる機会を提供することも考えているという。

パリ五輪での活躍が期待されるサニブラウンだが、高校卒業後から海外を拠点にしてきた経験から海外と日本陸上界とのギャップを感じたという。この大会を通し、子供たちにどのようなことを伝えたいのか、南波雅俊アナウンサーがその思いを聞いた。

子供たちに平等に色々なチャンスや経験を

南波雅俊アナ:
「DAWN GAMES」をやってみようと思ったきっかけは。

サニブラウン:
陸上界の人気と発展をもっとしていきたいということを考えた上で、トップ層の選手たち、今は決勝で戦ってメダルを取れる選手も増えてきたと思うんですけど、もっともっと増えていいかなっていうのを思っていて。その中で他の国を見ていくと、陸上ってものすごい人気があって、人がいっぱいいて層が厚いので下の子供たちの人口をもっともっと増やしていけたらなって思う。そしてその子供たちに平等に色々なチャンスや経験を得る機会を与えられたらいいなっていう思いで大会をやろうかなという感じですね。

「DAWN GAMES」について話すサニブラウン

南波:
東京と大阪で予選をやって上位にいた人たちは、決勝に出場。そしてサニブラウン選手の練習を見られるんですよね。

サニブラウン:
そうですね。まだ詳しくは詰めてないですけども、将来的には“TEAM Hakim”として例えば海外の方にきて見学したりとか直接教わってみたりとか、ダイヤモンドリーグ観戦という機会を設けたりとか、世界陸上で観戦する機会を設けたりとか、何かもっともっと身近で、トップ層や最先端に触れたり、経験して目と肌で感じる機会を増やしていけたらなと思っています。

サニブラウンが語る海外経験の大切さ

南波:
それこそご自身も10代の頃から世界の舞台で活躍されて18歳でアメリカ行ったじゃないですか。そのトップを感じるというのは、子供たち、これからの選手たちにとってどういう意味を持つと思いますか。

サニブラウン:
やっぱり日本だけでやってると世界がどこにいるかっていうのは全然わからないですし、それで世界陸上や世界大会に出て、ひよっちゃったりとか、緊張したりしてしまう部分があると思います。逆にトップの選手たちや、今世界での自分の立ち位置がわかるだけで心の持ちようやモチベーション、メンタルの部分は試合に臨む上で変わってくると思うので、そういう部分を少し経験するだけでも大きな糧になるのかなと思ってます。

南波:
ご自身もアメリカに行って変わりましたか。サニブラウン:そうですね。いろんなものをどんどん吸収して成長してると思うので、感覚的にもそうですし身体的にも全然違うと思います。

南波:
世界のトップを感じることができれば、もっともっと世界で活躍できるような選手、才能を持った人が日本の10代にもいると思われますか。

サニブラウン:
本当にそうですね。日本の陸上界って、高校生までは本当に世界の5本の指に入るぐらいの強豪だけど、それって高校生までで、そこから他の国の人たちは伸びてくるんです。やっぱり他の国の人たちって基本的に高校生まで色々なスポーツをやっていて陸上一つに絞っていないので、大学に行って陸上に特化した練習を始めて、トップの練習方法や、ものすごいリソースのある状態で練習して、厳しい関係で揉まれてどんどん強くなっているのでアメリカやジャマイカとかトップのところは、陸上大国と言われてるだけあるかなっていう感じですね。

南波:
DAWN GAMESを開催しようと思ったっていうのは、ご自身も日本の陸上界を盛り上げたいのはもちろんですけど、ご自身が海外の経験をされて周りを見た上で、やはりこういうのが大事だなって思われたのでしょうか。

サニブラウン:
それが一番大きいかなと思います。

南波:どのようなところにこだわって、こういう大会にしていきたいというイメージはありますか。

サニブラウン:
もちろん結果も大事になってくると思うんですけど、応募してくれる子たちが走る経験もそうですし、走る選手たち同士で何か横の繋がりができればなっていうのも思います。色々なものを経験して感じて、何か一つ家に持って帰れるものを作れればなと思っています。

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