パリオリンピック出場を決めたバスケットボール女子日本代表。そのなかで、異例とも言える丸1年もの休養を挟みながら、存在感を示したのが馬瓜エブリン選手でした。
■伊達公子さんに続いて…「エブリンもきたか」
松岡修造さん「シンプルに聞きますよ。もうクエスチョンしかないんですよ、なぜ休んだかっていう。一番いい時じゃないですか」 馬瓜選手
「一番いい時でしたね」 松岡さん
「一番いい時に休んだ人って世の中に日本人で1人しかいないんですよ、伊達公子さんだけ。はあ?!って思った訳ですよ、うわエブリンさんもきたかって」 馬瓜選手
「この休みがすごく良かったんですよ。自分にとっては」
2021年の東京オリンピック。馬瓜選手は日本のバスケ史上初となる銀メダル獲得に貢献。
さらに翌年には、Wリーグも制覇。この時26歳、まさにキャリアの最高潮とも言える時期でした。
しかしその直後に突然、1年間の休養宣言。けがでもない、意欲を失ったわけでもない…。そこには、馬瓜選手ならではの驚きの発想がありました。
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■“休養は絶好のチャンス”会社を立ち上げ■“休養は絶好のチャンス”会社を立ち上げ
馬瓜選手「一番最高潮の時にいったん休むことによって、自分自身の価値が一番高いところでいろんな“新しいエブリン”をどんどん発見できるんじゃないかなって。アスリートって自分は失敗が一番多い職業だと思ってます」 松岡さん
「けがとか負けることとか?」 馬瓜選手
「毎日の練習の中で失敗っていっぱいあるじゃないですか」 松岡さん
「それはあります」 馬瓜選手
「ですよね。でも折れはしないじゃないですか、絶対に」 松岡さん
「あきらめません」 馬瓜選手
「立ち直りのスピードっていうのは、一番いい時っていうのは一番あるかなというふうに自分は思っているので」
最高潮の時に休むのは、新しいチャレンジへの絶好のチャンス!そう捉えた馬瓜選手が挑戦したのは、なんとビジネス。「Back Dooor 株式会社」を立ち上げ、社長業を始めたんです。
馬瓜選手「やっぱりアスリートって一瞬なんですよね。何を考えて世の中の人に伝えるのかっていうのがすごく大事なことだと思うんですけど、なかなかそれがやっぱり難しい。なので、そのサポートをしてあげたい、選手に試合以外の場所でも価値提供できるようにしたいなって思ったのが一つのきっかけです。いやー、すさまじい、いろいろ失敗しましたよ」
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■未知の世界で“新しい自分”知る■未知の世界で“新しい自分”知る
アスリートと企業、ファンをつなぐ架け橋となるべく奔走した馬瓜選手。自ら営業活動を行ったり、チームでプロジェクトを動かすなかで、うまくいかないことも多くあったといいます。
しかし、失敗しても立ち直れるからこそ、絶頂期で休んだ馬瓜選手。挑戦するなかで“新しい自分”に巡り会えたんです。
馬瓜選手「1人でできる範囲っていうのは本当に狭いです。周りのことがかなり見えるようになったと思っていて。自分がどういうふうに頼んだら人は気持ちよく動いてくれるかとか、この人とお仕事するときはどういうふうにお話をしたらいいかとか。自分を突き詰めて、突き詰めていろんなエブリンを見てきて、自分はこういうのが得意で、こういうことするのが好きで、皆で勝つ楽しさっていうのを知って、気持ち的にもかなり余裕ができたなって思った。余裕というか余白ができた」 松岡さん
「余白?」 馬瓜選手
「余白かなって思いますね。いろんなエブリンがいていろんなところを見てきて、知らない世界っていっぱいあるんだって思った」
未知の世界で未知の自分を知ることで、自分の心にできた“余白”。すると、休むことで手に入れたこの余白のおかげでなんと復帰後のプレーも、ガラリと変わったんです。
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■プレースタイルにも余裕が「本当に休んで良かった」■プレースタイルにも余裕が「本当に休んで良かった」
馬瓜選手「点取り屋さん、点が欲しい。点を取りに行くタイプだったんですよ。周りの状況としては本当は自分じゃなくてボールを託しても良かったところも、結構自分でいくような。すごく自分で責任を負うような」 松岡さん
「ある意味自我がすごく強かった」 馬瓜選手
「そうですね。余裕があまりなかった」
もともと力強いドリブル突破が持ち味だった馬瓜選手。自らがゴールすることを追求してきました。しかし、最終予選のコートにいたのは“新しいエブリン”でした。
この場面の馬瓜選手。中にはスペース、ドリブル突破のチャンス。一方、外は3対2の状況です。馬瓜選手の選択は、パス!そして林咲希選手の3ポイント!実はこの日、林選手は絶好調でした。
パスをまわせばマークがずれて、絶好調の林選手がチャンスになる。自分の中に余白があるからこそ、コートの状況を見通せたんです。
馬瓜選手「周りが見えるようになったから、自分の中で考えてることだったりとかプレーをこの人にお願いしようだったりとか」 松岡さん
「“自分がやらなきゃ”っていうよりも任せる余裕が出てきた、余白が出てきた」 馬瓜選手
「余白が出てきました。もちろん地道な成長ではあるんですけど、その状態で(復帰して)取り掛かれたからこそ、この急カーブ的な成長がもしかしたら生まれたんじゃないかと思いますね。本当に休んで良かったなと。自分はこの半年の間、まるまるバスケットをやらずに休んだ経験は、絶対に他の選手たちには味わえないことができたんじゃないかなって思います」
(「報道ステーション」2024年4月1日放送分より)
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