(30日、プロ野球 中日ドラゴンズ3―0横浜DeNAベイスターズ)

 俊足と華麗な内野守備で「忍者」の異名をとる23歳、中日の田中幹也が、この日はバットでもみせた。

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 両チーム無得点で迎えた七回2死二、三塁。「それまで打てていなかったので、ここしかない」と思った。「自信のある球で勝負してくる」と張っていたDeNA・徳山の148キロ速球を中前にはじき返し、2者を生還させた。外野手からの本塁送球間に二塁へ進み、拳を握った。

 亜大時代の3年夏に、国指定の難病「潰瘍(かいよう)性大腸炎」と診断されながら、それを克服した経験がある。一時は体重が11キロ落ちたが、驚異的な回復力で、4年の全日本大学選手権で最高殊勲選手賞を受賞した。チームを優勝に導き、当時の監督は「彼の姿を見て、全体が『まだまだ頑張れる』と変わった」と言った。

 この日の2点適時打に、立浪監督は「幹也のタイムリーが重苦しい雰囲気を変えてくれた」。後続のカリステの二塁打で、中日は11試合ぶりに3得点以上を挙げた。

 忍者は、熱いプレーで仲間を鼓舞する、ガッツマンでもある。(安藤仙一朗)

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