杉村太蔵さん(44)が出場するテニス大会がついに始まった。3日は3回戦を戦ったが、1日に行われた初戦は手に汗握る激闘だった。

■初戦から大熱戦

 1日、毎日テニス選手権の初戦を迎えた杉村太蔵さん。専属コーチの長野宏美さんと共に会場入り。

杉村さん
「思った以上に緊張していて」
「(Q.去年と比べて?)全然緊張感が違いますね」

長野さん
「でも、きょうまで、やるべき準備はしてきたので」

 杉村さんが今回エントリーしたのは、男子シングルス45歳以上の部。初戦は、橋本朋幸選手(46)との対戦となった。

 25年ぶりに出場した去年の大会は、あと一歩というところで、初戦敗退。

杉村さん(2023年7月)
「こんな悔しい気持ちになると思わなかった。非常に悔しい」

 今年こそは絶対に勝ちたい…しかし得意のサーブが決まらない。さらに痛恨のダブルフォルト。実はこの時、緊張で手の震えが止まらなかったという。

 サーブが全く入らず、ゲームを落とした杉村さん。勝ちたい思いが空回りする中、ゲームカウント3−3で迎えた第7ゲーム。自らに、こう声を掛けた。

杉村さん
「ドンマイ、ドンマイ」
「(ポイント決めて)よし、まだわからない、まだわからない」

 自らを奮い立たせる、前向きな言葉だった。

 迎えた、ブレイクチャンス。この日一番のガッツポーズが飛び出した。これで勢いに乗ると、鋭いサーブも復活。

 そして、第1セットを6−3で杉村さんがとった。

■初戦は、26年ぶりの公式戦での勝利

 第2セットへ向け気持ちを高める杉村さんだったが、ここで流れを変える出来事が…雨が降ってきたのだ。

 すると、杉村さんのプレーは精彩を欠き、これまでなかったようなミスが増えていく。

 結局、セカンドセットは6−2で橋本選手に奪われてしまう。

 そして試合は、10ポイント先取した方が勝ちとなるタイブレークへ。

 気持ちを切り替え、最後の力を振り絞る杉村さんだったが、ゲームポイント9−7、橋本選手がマッチポイントを握る。

 しかし、ここで起死回生のサーブ&ボレー!さらに鋭いリターンエース!逆に今度は杉村さんがマッチポイントを握る。

 激闘を制した杉村さん、26年ぶりの公式戦での勝利となった。

■強敵相手に奮闘も…力及ばず

 3日の3回戦の対戦相手は向和彦選手(45)で、日本テニス協会のベテランJOPランキング45歳以上で3位。さらに去年の大会では40歳以上の部で優勝と、まさに強敵が相手だった。

 3回戦を終え、結果はどうだったのだろうか?

 3日午前9時、毎日テニス選手権が行われた多摩地方ではすでに25℃を超えていた。

 3回戦を迎えた、杉村さん。対するは、去年の「40歳以上の部」チャンピオン・向選手だ。

 実は向選手とは、2月に練習試合をしていた。この時は13ゲームで10−3と、全く歯が立たなかった。あれからおよそ5カ月、杉村さんの実力は?

 試合は、杉村さんのサービスゲームからスタート。幸先よく最初のポイントを奪ったが、その後、向選手にブレイクを許してしまった。

 先に2ゲームを取られ、迎えた第3ゲーム。40オールからの杉村さんのサーブ。得意のサーブでミスを誘い、ゲームをキープ。

 その後、ゲームカウント5−1で迎えた第7ゲーム。サーブ&ボレーで食らいつくも、相手の巧みなボールコントロールに翻弄(ほんろう)され第1セットを失った。

 その後の第2ゲームも、果敢に前に出るプレーを見せた。

 最後まで自分を鼓舞する姿勢をみせたが、第2セットは1ゲームも取ることができず…。杉村さんの今年の毎日テニス選手権への挑戦は終わった。

■「杉村太蔵効果」参加者が約4割増に

 これまで、杉村さんは生涯スポーツをテーマに再チャレンジを続けてきたが、実を結んでいる。

 今回の毎日テニス選手権の主催者に伺ったところ、もう一度テニスにチャレンジしたいと考えた参加者、「杉村太蔵効果」というのが確実にあったそうで、45歳以上男子シングルスの参加者は去年が62人だったのが、今年は86人となり、およそ4割増となった。そうした参加者に話を聞いた。

 まずは数年ぶりの大会参加となった高橋佳希さん(47)。外資系のIT企業に勤務しているが、「杉村さんの挑戦を見て、同年代が再チャレンジしている姿に励まされた。50歳以上もテニスをずっと続けられるように、今はその準備をしているようなところ」と参加の動機を語っていた。

 そして、綱川健一朗さん(47)は、なんと20年以上ぶりに大会に参加。仕事は障がい者の就労支援などだが、「20代後半に子育てでテニスから遠ざかっていたが、杉村さんの挑戦に触発された。生涯スポーツとしてテニスはずっとやっていこうと思っている」と話していた。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年7月3日放送分より)

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