7月6日に開幕する第106回全国高校野球選手権滋賀大会。安曇川、湖南農、信楽、甲南、愛知、長浜農が部員不足のため、滋賀県では過去最多の6校連合チーム(18人)として出場する。

 今回の連合チームは、琵琶湖北西部の安曇川、北東部の長浜農、南部の信楽などと広範囲にわたることが特徴だ。

 6校の選手たちは、平日は各校で練習。土日になると、保護者に送ってもらうなどして一堂に会し、合同練習や練習試合に臨む。

監督「土日は100%楽しみ」

 土日が来ることを楽しみにしているのは、選手や保護者だけではない。連合チームの監督を務める長浜農の坪内勇人監督(59)は「土日は100%楽しみ」と言う。平日は一人の選手にも会えないからだ。

 6校連合の選手18人の内訳は、安曇川4人、湖南農2人、信楽5人、甲南2人、愛知5人。長浜農はゼロだ。昨夏は3年生が2人いたが、1年生が入ってこなかった。

 坪内監督は昨夏に3校連合、秋以降は5校連合を指揮した。連合チームは、土日に出た課題に各校が平日に取り組む、ということを繰り返す。だから、土日は坪内監督にとって、選手を直接指導できる貴重な2日でもある。

 6月22日、愛知(愛荘町)で行われた練習試合。選手たちは、自校のユニホームを着て臨んだ。結果は、八幡工のBチームに1―1、伊香のBチームに6―1と、1勝1分けだった。

 「ひざに手をついて守備につくな」「プレーにイメージがない」――。坪内監督は試合中、そんな細かい指摘を選手に飛ばし続けた。「あした言おうでは間に合わない。土日しか指摘できないから、口うるさいけど、言えることは全部言う」。連合チームの監督としての心構えだ。

 5月から本格的に始動した6校連合。土日を経るごとに、終盤まで粘れる試合が増えてきた。「やっと野球らしくなってきた」。練習試合のあと、選手たちに「それぞれ形になってきて非常に良い。この感覚を忘れないように」と話した。

 選手たちも、チームがまとまってきている、と感じている。信楽の上野俊一選手(3年)は「今まではコールド負けだったけど、九回までやり抜きたい」。甲南の西村太久蔵選手(3年)は「6校連合は珍しいので、記憶に残せるような最後にしたい」。それぞれ滋賀大会を見据えた。

背番号渡し「俺からのお願いや」

 この日、坪内監督から各選手に背番号が手渡された。その背番号は長浜農のものだった。坪内監督はこう語りかけた。「選手がいないうちの背番号を付けていっしょに戦う。俺からのお願いや」

 雨が降った6月30日。選手たちは長浜農の体育館に集まり、背番号を付けたユニホーム姿で大会前最後の合同練習に汗を流した。

 単独のチームで出場できることが理想だが、別々の学校の選手、指導者、保護者が力を合わせて一つのチームをつくり上げる。それが、連合チームのだいご味なのだろう、と記者は思った。

 6校連合は7日、滋賀大会の初戦で彦根翔西館と対戦する。(仲程雄平)

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