ブラインドサッカーは1チーム5人ずつでプレーし、ゴールキーパー以外の視覚障害のある選手たちがアイマスクをつけて金属が入ったボールの音やガイドの掛け声などを頼りにゴールを目指します。
世界ランキング3位の日本は、パリ大会で初のメダル獲得を目標に掲げていて、本番前最後の国際大会が4日から大阪市で始まりました。
大会には日本のほか世界8位のモロッコ、世界9位のメキシコ、世界26位のマレーシアが参加し、4チームが総当たりで戦って上位2チームが決勝に進みます。
日本は初戦でマレーシアと対戦し、前半、17歳の高校生ストライカー、平林太一選手などが果敢にシュートを打ちましたが、相手の体を張った守備に防がれて得点を奪えず、0対0で試合を折り返しました。
後半も、マレーシアの堅い守備を崩せず思うように攻めることができませんでしたが、終了間際にゴール前でボールを受けたキャプテンの川村怜選手が左足でゴール左隅にシュートを決め、日本が1対0で勝って白星スタートを切りました。
日本は5日パリ大会で同じグループで戦うモロッコと対戦します。
大会は今月7日までJR大阪駅に隣接する商業施設につながる「うめきた広場」で行われます。
パリパラリンピック想定“音に慣れる”
今回の国際大会はJR大阪駅に隣接する商業施設に続く広場が会場になりました。
視覚障害のある選手たちがアイマスクをつけてプレーするブラインドサッカー。選手たちにとっては金属が入ったボールの音やガイドの掛け声が頼りです。1日15万人ほどが行き交う場所で雑踏などの音がある中、ふだんどおりのプレーができるか。大会を主催する日本ブラインドサッカー協会がこうした環境を会場に選んだのには理由がありました。
パリ大会の競技会場はエッフェル塔に隣接したおよそ1万3000人を収容できる競技場になる予定で、雑踏などの音の中でのプレーに慣れておく必要があると考えたのです。
4日の試合前、音量レベルを測る測定機器で会場の音を測ってみると、70から80デシベルになりました。国が公表している資料によると、地下鉄の車内やセミの鳴き声の音量レベルとほぼ同じでした。
日本代表のチームがふだん練習している東京・小平市のグラウンドはおよそ50デシベルだということで、慣れない環境の中、選手たちは声を張り上げながらコミュニケーションを取ってプレーしていました。
キャプテン 川村怜 “事前にこうした環境で試合ができて感謝”
決勝ゴールを決めたキャプテンの川村怜選手は「1試合を通してストレスのたまる試合になったが、最後ギリギリのところで1点を取って勝てたことはよかった。終盤で相手も疲れていたのでチャンスは絶対あると思っていた。落ち着いて決めることができた」と試合を振り返りました。
また、雑踏などの音がある会場でプレーしたことについては「反響するなどして時々聞こえにくいと感じて結構苦戦したが、本番のパリ大会に向けて事前にこうした環境で試合ができて感謝している」と話しました。
中川英治監督 “いいシミュレーション”
白星スタートを切ったブラインドサッカー日本代表の中川英治監督は、「なかなか僕らのサッカーをさせてもらえなかったが、相手が前に出てこなかったので前線を押し上げてボールを奪いにいくようにした。苦しいゲームを勝ち抜く力はついたと実感できた」と試合を振り返りました。
また、パリ大会を想定し雑踏などの音のある場所で試合をしたことについては、「ベンチ近くにあった店のスピーカーの音でボールの音が聞こえない場所もあったが、選手と1つ1つ共有しながらやることができた。会場自体が吹き抜けの部分とそうでない部分で音の反響に違いもあった。パリ大会に向けていいシミュレーションになっている」と話しました。
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