(6日、第106回全国高校野球選手権大阪大会1回戦 枚方津田5―3交野)

 きつい練習のときこそ一番大きな声を出す。目の前の一球を全力で追う。

 交野の山崎悠一郎外野手(3年)は声でもプレーでもチームを引っ張る副主将だ。

 そんな姿が認められ、1番打者を任されている。「後ろに続く仲間に勇気と自信を与える存在」として。

 「俺についてこい」と仲間を鼓舞するため、ファーストストライクは絶対にフルスイングする。

 その信念が生きた。

 一回表、2ボールからの3球目。真ん中に来た直球を強振すると、打球は左翼手の頭を越えた。

 観客席がどよめくなか、二塁上でベンチに向かって右手を上げる。京セラドーム大阪での開幕戦。どこかそわそわしていたみんなの顔が、ぱっと明るくなった。

 後の仲間がつなぎ、先取点のホームベースを踏むと、ベンチでもみくちゃにされた。

 終盤の七回まで3―3の大接戦。だからこそ、勝ちたかった。

 ベンチを後にした。エースで主将の古川瑞基投手に、「ありがとな」と声をかけられた。

 みんながいなければ、色のない高校生活になったとすら思う。

 「俺の方こそ、ありがとう」。まっすぐ見つめて、返した。(西晃奈)

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