(6日、第106回全国高校野球選手権佐賀大会1回戦 佐賀学園4―1東明館) 勝負の六回だった。東明館の川崎隆誠投手(3年)は五回に自らのスクイズで同点に追いついた。グラウンド整備の間、古賀洋監督から聞かれた。「次もいけるか」。川崎投手は「はい」と即答しマウンドへ向かった。
先頭打者に二塁打を浴び、1死三塁から犠飛を打たれて交代。結局、これが決勝点となり、「他の投手に申し訳ない」と涙が止まらなかった。
六回以降は継投に出ることが多かった古賀監督は「『3年間の思いをぶつけてしっかり投げてこい』と送り出しましたから」と悔いはない。「あの子が投げるとチームが落ち着く。信頼度は一番だった」と続けた。
実は川崎投手は1週間前の練習試合で頭部に死球を受けていた。出場に問題はなかったが、練習を再開したのは3日から。古賀監督は「制球のよい投手が3四死球なので、影響があったのかもしれない」と言った。
県外出身者が多いチームで、上峰町から通った。硬式野球のクラブで活躍していた中学3年生の時、東明館が甲子園に初出場した。「甲子園に一番近いチームだと思った。県外とか関係なく甲子園に行きたかった」。目標に届かなかったが、エースらしく投げきった。(森田博志)
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