富山市民球場で6月半ば、大阪桐蔭(大阪)を招いての強化試合が行われた。夏5回、春4回の甲子園優勝を誇る強豪と、富山商、高岡商、富山第一、高岡第一の4校が対戦した。

 高岡商が2018年から2年連続、夏の甲子園で2勝した。さらなる強化・普及事業の一つとして22年から富山県野球協議会と県高校野球連盟が協力して始めた招待試合。富山の有力校に、「全国トップレベルを肌で感じてもらう」狙いがある。

 初回は東海大相模(神奈川)が招かれ、今年で3年目。ただ県内の4校をめぐってはさまざまな意見がある。顔ぶれがいつも同じだからだ。

 「昨夏の富山大会準優勝の富山北部がなぜ出ない」「21世紀枠で選抜に出場、春季4強の氷見が選ばれないのはおかしい」など。「恣意(しい)的に選んでいるのでは」という声もある。

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 なぜ、この4校なのか。明確な基準で選んでいる。取り組みが始まる前年の21年の春季、夏の全国高校野球選手権富山大会、秋季の3大会の成績だ。優勝3点、準優勝2点、準決勝進出の2校は1点ずつで計算し、上位4校が指定された。ただ申し合わせで「3年間の成績で見直す」ことになっている。今年はポイント加算の最終年で、秋の大会をもって見直される。

 富山市で5月24日にあった協議会総会では、参加者から県高野連側に「今年の春季大会までのポイントを教えてほしい」という要望が出た。県高野連理事長の高橋英司(54)がマイクを握って説明した。「現在までのポイントを報告いたします。高岡商と富山商が11、氷見が7、富山第一が6、富山北部と高岡第一が4、高朋が3、新湊が2、新川は1となります」

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 招待試合で、県勢はまだ一度も勝てていない。今回の対戦後、富山の選手たちは「力の差を感じた」「打球の飛び方が違う」「走者の進め方がうまい」などと印象を語った。一方で「工夫すれば、対抗できると思った。課題が見つかった」という声があった。

 第106回全国高校野球選手権富山大会は10日に開幕する。現行のポイント制については協議会内からも「最も重要な夏の大会が、春、秋と同じでいいのか」「甲子園で勝ったら、もっと点数を与えるべきではないか」という意見がある。県の補助を受けている事業だけに、協議会や高野連は「県民に分かりやすい形で進めたい」としている。=敬称略(前多健吾)

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