(9日、第106回全国高校野球選手権福岡大会3回戦 須恵0―7飯塚)
捕手からボールを受け取ると、すぐさま投球動作へ。名付けて「超ハイテンポ投球」。須恵の田中悠真投手(3年)は速いテンポで次々と投げ込み、シード校の飯塚を五回まで1安打に抑えた。参考にしたのは、関西の強豪校エースの投球。試合前日、後輩に動画を見せられて練習すると、「意外とやれる」。本番でも試すと、相手打者のリズムを崩し、凡打の山を築いた。「完璧」と思える投球だった。
だが六回、先頭打者の出塁を許すと、自分のリズムが乱れた。走者を意識しすぎてテンポが遅くなると、連打などで大量点を失った。
苦しい展開になっても、マウンドで笑顔を絶やさなかった。「投手はチームの要。僕が笑顔を切らしたら、おしまいだから」。でも試合後は、涙があふれた。強豪を苦しめた充実感と、最後の夏が終わった悔しさ。かみしめるようにつぶやいた。「やっぱり、野球は楽しいっす」(中村有紀子)
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