(9日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会2回戦 横浜隼人6―3鶴嶺)

 試合が終わると、154球を投げきった鶴嶺のエース、上川洋瑛(ひろひで)(3年)の目から涙がこぼれた。

 最速147キロの直球を中心に、カーブなど変化球も織り交ぜた投球が持ち味。大会前から公立の注目右腕と呼ばれ、「プレッシャーだった。でも、それをはね返すつもりで(初戦に)来た」。

 ベスト8をめざした今夏は、「チームを鼓舞する投球をしたい」と腕を振った。しかし、三回に3点本塁打を浴び、四死球や暴投など制球が定まらず苦しんだ。「相手の応援に飲み込まれてしまった」

 それでも、七回以降はスコアボードにゼロを並べた。横浜隼人のエース沼井伶穏(3年)は「プロからも注目される投手で、意識していた」という。「バッティングでは活躍させない」と、自慢の直球で空振り三振に打ち取った場面では「よっしゃあ!」と声をあげた。

 終わってみれば、6失点で敗退。昨年も敗れた相手だけに「悔しいです」。最後は沼井らと握手し、「ありがとう。ベスト8に行ってこい」と夢を託した。

 「今回の経験を次のステージで生かしたい。大学に進学して、プロをめざします」。涙が光る目で、力強く宣言した。(手代木慶)

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