(10日、第106回全国高校野球選手権東東京大会2回戦 品川翔英0―10攻玉社)

 昨夏と同じカードになった一戦は品川翔英が攻玉社に敗れ、逆の結果になった。品川翔英にとって攻玉社は格上。「あの夏と同じ喜びをもう一度味わう」と、挑戦者の気持ちで臨んだ。

 だが、今年の攻玉社は想像以上に強かった。先発マウンドに立ったのは昨夏と同じ森田翔大(3年)。「今年こそ絶対に勝つつもりで、新しい球種を覚えた」

 昨年も対戦していた品川翔英の岡田八大(えいと)(3年)は「相手も本気で来ているんだ」と感じた。球速も球種も昨年と全く違う。一回表、外角に来た球を思いきり振り抜き、中前に安打を放った。直後、二盗を成功させベンチを湧かせたが、その後、チャンスで打線がつながらず、点を奪えなかった。

 甲子園出場なんて、岡田は考えたことはなかった。入学時、同好会から昇格したばかりの野球部に入った。優しくて面白いチームメートと「そこそこ」の練習。「楽しい野球がやれればそれで良い」と思っていた。

 だが、昨夏の攻玉社との試合が転機になった。格上相手に劇的な逆転で公式戦初勝利を飾ったことで、練習が厳しくなった。

 苦しくなり、一時は部をやめることも考えた。だが、もう一人の3年生、国見琉正と励まし合い、最後まで野球をやりきることを決めた。

 10日の試合、ひとつひとつのアウトをもぎとるつもりで全力で走った。「腕がもう折れてもいい」と飛んできた打球に、必死に食らいついた。

 コールド負けしたが、予期せぬ再戦は最高だった。隣でライトを守るのは国見。内野では、心強い後輩たちも懸命に白球を追っていた。「良いチームで野球ができて、思う存分楽しめた。みんなと野球ができてよかった」=大田(佐野楓)

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