(11日、第106回全国高校野球選手権西東京大会2回戦 世田谷学園12―0練馬工科 五回コールド)

 世田谷学園の打線は、「低反発バット」の影響を全く感じさせなかった。練馬工科から柵越えの本塁打を3本。8安打のうち7本が長打で、打撃で圧倒した。

 一回裏、3番海老沢遼人(3年)が右翼ポール際に先制の2点本塁打を放つと、三回裏には4番坂本勇希(2年)が右翼席に特大の2点本塁打。さらに四回裏、5番市川翔喜(3年)が左翼席に放り込んだ。

 都内で最多の人口90万人を抱える世田谷区にある同校。専用グラウンドがない野球部は、住宅に囲まれた小さな校庭で練習している。

 成瀬智監督によると、校庭は狭く、外野のネットが近い。守備練習が満足にできないため、打撃に力を注いできた。

 近隣住民への配慮も必要だ。練習ではなるべく大声を出さず、金属バットの音で迷惑をかけないよう、木製バットを使う。

 木製は金属よりも飛びにくい。「芯でとらえる意識がついた」と海老沢。今春から低反発の金属バットが導入されたが、「木製のように芯に当てれば飛ぶ。影響は感じない」と気にしていない。

 成瀬監督も「バットが変わろうが、打って点を取る野球スタイルは変わらない」。都心のハンデを力に変えた強力打線の夏は続く。=府中市民(吉村駿)

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