(11日、第106回全国高校野球選手権大分大会2回戦 杵築2―4高田)

 直球、変化球、直球と3球三振を奪った。八回裏2死三塁のピンチを切り抜けた杵築の脇屋開智(かいち)主将(3年)は、ガッツポーズで声を出しベンチに戻ってきた。

 マウンドに上がったのは2点リードを許して迎えた六回裏。3番手投手だった。捕手の井門(いど)直哉選手(3年)は「ゼロでいくぞ」と声をかけた。「脇屋は一番気持ちが強い。いい意味で緊張感なく投げるのがあいつの持ち味」

 脇屋主将は、自分たちの武器は攻撃。2点差なら大丈夫、いけると思っていた。しかし4回以降、好機をつくるものの、あと1本が出なかった。

 そして八回裏のピンチ。「絶対抑えなきゃいけない」と力を込める。井門捕手がマウンドに来ると、「おまえのいい球でしっかり締めくくって、最後の攻撃いこうやっ」と声をかけた。笑顔で「わかった」と言うと、井門捕手は普段はやらないグータッチを差し出した。「やっぱりここ一番だから」

 「あいつの中で一番いいボールが来た」と井門捕手。サインを出して構える井門捕手とミットに投げ込む脇屋主将の2人に迷いはなかった。脇屋主将は「気持ちを前面に出して、力のある球を最後に投げきって三振を取れた。すごい気持ちよかった」。(大村久)

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