(11日、第106回全国高校野球選手権兵庫大会2回戦 淡路三原2―8姫路工) 

 雨のなか、淡路三原の捕手の進藤斗真主将(3年)はマウンドを見つめた。視線の先には「ガッチガチに緊張してる」兄・進藤優人投手(3年)がいた。

 一回に死球を与え、長打を打たれた。すぐさま声をかけに向かった。「いつも通りでいいから」「今できることをやろう」

 2人は三つ子のきょうだいで妹がいる。斗真主将はわがままな性格、優人投手はせっかちな性格だといい、2人とも熱くなりやすいところが似ているという。

 幼稚園の頃から、2人でキャッチボールをしてきた。斗真主将は小学生の頃からずっと捕手、優人投手は外野手だった。

 バッテリーを組むきっかけは高校1年の秋。外野手だった優人投手は、後勇至監督から投手になるよう提案され、登板するようになった。

 当初、球速が100キロほどだったが、ウェートトレーニングなどをして体重を約10キロ増やし、球速は120キロに。昨秋に優人投手はエースになり、2人は本格的にバッテリーを組むようになった。登下校は一緒のことが多く、練習後も2人でジムに通う。自宅では、ほぼ野球の話しかしないという。

 兄弟だからこそ、「ほかの選手に言いにくいことでも、言うことができる」と口をそろえるが、言い過ぎてけんかをすることもある。ただ、優人投手は「自分の思ったサインを出してくれることが多い」と話す。

 2人で挑んだ最後の夏。優人投手は、この日もサインに首を振ることほぼなかった。ただ、四回までに6失点した。チームは四、五回に1点ずつを返したが、及ばなかった。

 試合後、2人は目を赤く腫らしていた。斗真主将は「厳しいことも言ったけど、ついてきてくれてありがとう。バッテリーを組めてよかった」。優人投手は「兄弟でバッテリーを組めたことは、一生忘れない思い出になりました」(森直由、原晟也)

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