(12日、第106回全国高校野球選手権新潟大会2回戦 新潟西0―3村上桜ケ丘)

 九回表のマウンドに向かう村上桜ケ丘の渡辺勇陽(2年)の背中にスタンドから声援が飛んだ。

 「守るなよ! 攻めろ!」「ノーヒットノーランだぞ!」

 渡辺の表情は変わらなかった。意に介さないようでありつつ、闘志を秘めているように見えた。

 試合の3日ほど前、松田忍監督に直訴した。「自分に投げさせてください」。松田監督は振り返る。「投手の中で一番調子がいい。渡辺の先発がベストだった」。こうして公式戦で初めての先発の座をつかんだ。

 監督の見立て通りだった。一、二回と三者凡退に抑える。しかし三回、四死球三つで2死満塁のピンチを招く。だが、力でねじ伏せた。

 その後は五回こそ打者4人とまみえたものの、ほかはすべて三者凡退。九回の最後の打者も威力ある直球で打ち取った。打者31人に134球を投げ、13個の三振を奪う圧巻の投球だった。

 三回の四死球を減点要素とし、自己採点は「70点」。それでも「優勝に向けて自信がついた」と素直に喜ぶ。その後、付け加えた一言は大胆不敵だった。

 「またノーヒットノーランやります。パーフェクト(完全試合)も狙います」(鈴木剛志)

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