「体の回転の軸を意識して」。熊本大会の開幕を目前に控えた4日、熊本農の投手、今村勝義さん(3年)はフォームに悩んでいる様子のほかの投手に助言していた。

 中学生の時からマウンドに立った。

 身長180㌢、体重77㌔の恵まれた体格と縦に割れるカーブが持ち味で、熊本農では「本格派の右腕エースに」と期待された。

 だが、昨秋に腰を痛めた。2カ月ほどで完治したが、その直後、登校中にトラックにはねられる事故に遭い、左手首を骨折した。

 けがや故障がその後も続き、5月の練習試合で1度は登板したものの、体調は万全とはいえない。

 「いま、投球で貢献することが難しいのなら、ほかのことでチームの力になろう」。そう考えて練習メニューを組み、仲間に指示や助言することにした。練習の様子をグラウンドの端で観察し、気付いたこと、気になることをノートに書き留めたり、監督や部長に尋ねたりして選手に伝える。

 そんな今村さんの復帰を仲間も待つ。

 「お前が戻ってくるまでに、俺たちが強くなるから」。その言葉通り、チームは強豪相手にも互角の戦いをするようになってきた。

 今夏の甲子園の開幕は8月7日。

 「それまでには、復帰できると思います」。仲間たちが必ず連れて行ってくれると信じて「背番号20」で大会に臨む。

 熊本農は16日、必由館と対戦する予定だ。(吉田啓)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。