(16日、第106回全国高校野球選手権広島大会2回戦 明王台10―7府中)

 約1カ月間、グラウンドに立てなかった。

 六回無死満塁の好機で、打席に入ったのは府中の1番・中元歩結選手(3年)。前の打席では好機をものにできなかった。思い切り打とうと、直球を振り抜くと右飛に。ところが右翼手の失策で、走者3人が一気に生還。自身も二塁に進み、笑顔でガッツポーズした。

 今年2月ごろ、体調を崩して入院した。退院直後に部活に顔を出したが、ベンチで仲間を見守る日々が続いた。「1カ月後、期待しとるぞ」。そんな仲間の声に励まされ、自宅でバットを振り続け、春にはグラウンドに戻った。

 試合は明王台に1点差まで迫ったが、その後突き放された。「3年間つらいこともたくさんあったけど、色々な人に支えられて野球を続けられた」。その表情は満足げだった。(遠藤花)

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