(16日、第106回全国高校野球選手権広島大会2回戦 沼田9―0加計芸北)

 試合開始前、加計芸北のノックが始まると、記録員の深井雛(ひな)さん(3年)はユニホーム姿でベンチから飛び出した。

 ノックバットを振り、強弱をつけたゴロを内野に転がす。「1球目を打つまで、ずっと緊張していました」

 昨夏の広島大会でもノックを打ったが、今年は金属ではなく木製バットを使いたくて、ネットの前で練習を重ねた。

 小学1年生でソフトボールを始め、中学は軟式野球部で二塁手。高校では女子バレー部の選手をしながら、野球部のマネジャーを務めてきた。

 最後の夏となる沼田との初戦。試合中は、3番打者の沖春都主将(同)に「バッティングが前のめりになってるよ」と声をかけた。

 しかし、結果は散発2安打で7回コールド負け。野球部の生活は「忘れられない思い出になった」と言う深井さんに、沖主将は「いつも前向きな言葉をかけてくれて、頼りになりました」と感謝した。

 深井さんは卒業後、進学して軟式野球を続けるつもりだ。「やっぱり試合には出たかったです。また選手に戻りたい」(根本快)

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