(17日、第106回全国高校野球選手権広島大会2回戦 呉商7―0桜が丘)
満を持して、代打に立った。
六回、桜が丘の先頭打者として打席に入ったのは、山本健太主将(3年)。守備が乱れて6点差をつけられた直後だった。
嫌な空気を断ち切ろうと、3連続ファウルで粘った末に死球。チームとして一回以来の出塁となったが、後続を断たれた。
山本主将は軟式野球部員だったが、硬式野球部を立ち上げ、この夏、初めて大会に出場した。今春、1年生12人が入部。選手19人で呉商との初の公式戦を迎えた。
試合はベンチスタートで、後輩を鼓舞しながら自分の出番を待った。代打の後、一塁手の守備に入ったが、チームは七回に追加点を許し、無安打のままコールド負けした。
試合後、安部良亮監督は「彼が作ってくれた硬式野球部。これまでよく支えてくれた」とねぎらった。山本主将は「会場の盛り上がりは硬式ならでは。大会に出場したことを実感した」と振り返った。
前の晩に磨いた白色のスパイクは、うっすらと土ぼこりをまとっていた。(根本快)
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