(17日、第106回全国高校野球選手権和歌山大会2回戦 南部6―0和歌山高専)

 5年制の高等専門学校生にとっても、高校野球ができるのは3年間。和歌山高専3年生の池田将真投手には、この試合が最後の「夏」だった。

 一回から不安定な投球だった。打撃の際に指を痛め、違和感を抱えながら投げた。連続安打のあと犠打による進塁を許し、適時打を浴び2失点。その後も制球が定まらなかった。我慢の投球は七回途中までで終わった。

 ベンチでは笑顔で仲間を盛り上げた。中堅へ守備位置が変わっても、大きな声を出し続けた。チームは無得点。試合後は目からあふれる大粒の涙を隠さなかった。

 それでも、硬式野球を続ける。高専4、5年生が参加できる「高等専門学校大会硬式野球競技」でも、仲間と戦うつもりだ。和歌山高専では伝統的に、在校生が高校チームの監督を務める。

 「ヒットが打てたら楽しいし、速い球が投げられたらうれしい」。もう少し一緒にプレーできる後輩に、高校野球の妙味を伝えていこうと思っている。(寺沢尚晃)

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