(18日、第106回全国高校野球選手権兵庫大会3回戦 報徳学園8―0)

 打って、打って、また打った。報徳学園の安井康起(3年)が止まらない。

 一回に1死二塁で、右前に運び、いきなり先制打を放つと、三回の第2打席は直球を引っ張り、右翼スタンドへアーチをかけた。

 安井は「高校でホームランは初めてです」。ベンチに戻って「ナイスバッティング!」と声をかけられると、満面の笑みを浮かべた。

 その後も2安打を放ち、この日は4打数4安打2打点の大活躍で7回コールド勝ちに貢献した。安井は2回戦は4打数4安打、3回戦は3打数2安打を放っており、3試合で計11打数10安打、打率は驚異の9割9厘だ。

 大角健二監督も「怖いです。(後半に)とっておいてほしい」と苦笑いしたが、「本当に内容がいい。練習からセンター返しを打って基本に忠実。自主練習も毎日やっている」と、普段の姿勢から評価する。

 チームは冬場、打撃力を鍛えるため1・3キロのバットを使ってティーバッティングをする。それを今でも続けているのは、安井だけだ。

 さらに、全体練習の後は、必ず居残りでボールケース1箱分を打った。「選抜で自分よりすごい打者がいっぱいいた。なので、負けたくないなと思って」。反骨心が努力の原動力になっている。

 今春、2年連続で選抜大会決勝で敗れた。「昨年は準優勝で満足してしまったけど、今年は優勝しか狙っていなかった。それで負けて、悔しさは倍だった」と安井は振り返る。

 練習のかいあって打撃は絶好調だ。それでも、「調子に乗ったらダメ。やってきたことを、またやる。打撃が良いと思わないことです」と慢心はない。

 「また、これから帰って練習します」。そう言うと、大きなカバンを持って球場を後にした。=ベイコム尼崎(室田賢)

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