(18日、第106回全国高校野球選手権東東京大会4回戦 東亜学園4―2明大中野)

 セットに入って2回振り返ったら、3回目はない――。昨夏準優勝の東亜学園を2点差で追う九回1死一、二塁。二塁走者の明大中野・高岡珀人(はくと)(3年)は相手投手の癖を見て、腹をくくった。「思い切っていくしかない」。中学時代は陸上部で、50メートルは5秒8。足には自信があった。

 岡本良雄監督からは、自分の判断でいけたらいけ、といわれていた。一塁にいる高橋駿太(3年)を見る。「いくぞ」。一番仲が良いあいつならわかってくれるはず。勢いよくスタートを切って三盗を決めると、高橋も二塁へ。練習試合では何度かやっていたが、こんなに緊迫した試合で2人で重盗を成功させたのは初めてだった。

 一打同点のチャンスに、ベンチもスタンドも盛り上がる。でも、あと一本が出なかった。

 今春の都大会で初めて4強入りした。春に得た自信と、勇気を持って挑んだ夏。「一歩届かなかったけど、自分たちの野球ができた。判断は間違っていなかった」。最後の夏は、実感がわかないほど、あっという間だった。=神宮(野田枝里子)

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