(18日、第106回全国高校野球選手権新潟大会4回戦 新発田農2―10帝京長岡)
キン、と音を残して白球が右翼に上がった。伸びない。簡単に右翼手のグラブに収まり、試合終了。最後の打者になった新発田農の主将高田悠真(3年)は一塁を踏む前からうなだれた。身長164センチの小柄な体が一層小さく見えた。
気合十分で臨んだ試合だった。春の県大会と北信越大会の王者・帝京長岡に挑むということもある。だが、13日の長岡戦も気合の背景にはあった。
長岡戦は初回に3点先取されたが、六、七回に1点ずつを返した。そして八回、高田自らが本塁に生還して逆転、雄たけびをあげた。
昨夏の新潟大会3回戦。第1シードの帝京長岡はノーシードの長岡に足をすくわれた。長岡の「ジャイアントキリング」。高田は長岡に成り代わって昨夏の再現をするつもりだった。
18日の帝京長岡戦。新発田農は高田以外のスタメンを主力の2年生で固めた。3年生に比べると公式戦の経験値は下がるものの「高田のキャプテンシーがあれば大丈夫」。皆川浩一監督の高田に対する揺るぎのない信頼があった。
だが、王者は貫禄を見せつけた。長短12安打で10得点。新発田農は2点を返すのがやっとで、高田が気迫を見せる場面すらなかった。
「全力を出し切れなかった」。高田の涙は止まらない。言葉は2年生に向かった。「感謝している。どうか来年、甲子園に行って欲しい」(鈴木剛志)
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