(19日、第106回全国高校野球選手権山梨大会準々決勝 甲府城西0―1日大明誠)
二回表、甲府城西の5番・石川智也選手(3年)は、外のスライダーを引っかけながらも強い打球を転がした。三遊間を抜けるかに見えたが、遊撃手が飛びつき好捕。石川選手は一塁にヘッドスライディングし、チーム最初の安打となった。
「絶対にセーフになって、あそこ(スコアボード)に1を入れたかった」
野球ができない時期があった。1年の秋ごろ、右肩に異変を感じた。最初は原因がわからず、大きな病院で診てもらって肩関節の「離断性骨軟骨炎」と診断された。「投げることはできない」と言われた。
2年の夏まで治療を続けた。その間、肩を使わずに下半身のトレーニングメニューをこなした。「野球がしたくてしたくて。それでもできなかった」
肩が治り、昨秋、レギュラーをつかんだが「秋も春も結果が出せなくて。みんなに迷惑をかけた」。それでも、夏へと努力を続けた。
大会初戦の甲府南戦は2打数2安打と四球、犠打。2回戦の吉田戦は4打数3安打と活躍。宿沢元樹監督は「二遊間も守れる選手だが、一塁手にしてチームが安定した。打撃も悪くない。大会を通してよくやった」と評価する。
日大明誠戦は投手戦となり、3打数1安打を記録したが0―1で敗れた。石川選手は「1安打しか打てなかったのは悔しいが、高校野球で初めて楽しいと思える大会だった」。
試合後、少し泣いた後、「時にはけんかもしたけど、最後にみんなと野球ができてよかった。最高でいい思い出ができた」。満面の笑みになった。(豊平森)
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