(19日、第106回全国高校野球選手権兵庫大会4回戦 姫路0―7須磨翔風)

 「最後は倒れてもいいから、全力で投げよう」

 優勝候補の一角の須磨翔風に一回、4点を奪われ、さらに2死満塁のピンチ。2番手で姫路のエース横山颯汰投手(3年)がマウンドに立った。

 最速145キロの直球を武器に3球三振に打ち取り、「ヨッシャー」とほえた。「このまま流れを変えて逆転しよう」

 入学時の球速は120キロも出なかった。冬に姫路城の近くにある男山の100段以上の階段を1日1時間近く走り込み、下半身を鍛えた。体重は15キロほど増え、球速は30キロ近くも伸びた。

 この夏は2、3回戦で好投し、いずれも1点差で競り勝った。シード校との4回戦の前日。「もしかしたら、今日が最後の練習になるかもしれない」。部室で3年生と話し合った。「最後は楽しんで、笑って終わろう」。仲間たちと誓った。

 二回以降は直球とスライダー、フォークで組み立て、六回まで無安打に抑えた。しかし連投の疲れと、夏の暑さを感じていた。

 七回2死から直球を横山投手にとって初めての安打にされた。「気持ちを切り替えて、最大限の力を出す」。だが次の打者に投げた直球も適時打にされ、コールド負けが決まった。最後の試合は被安打2だった。

 「相手が予想以上に強かった。悔しいけど、やり切ったという感じがします」。悔しさをにじませつつ、「冬の練習はしんどかったけれど、最後の試合は楽しかったです」。(森直由)

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