(20日、第106回全国高校野球選手権徳島大会2回戦 阿南光10―0川島)
「もう、全然ですね。ダメなところが全部出ました」
今春の選抜大会8強入りに貢献した阿南光の先発・吉岡暖(はる)(3年)は試合後、うなだれていた。
5回を被安打1、4奪三振で無失点に抑え、打線も11安打10得点で5回コールド勝ちした。ただ、ボールにうまく指がかからず、三回には下位打線に連続四球を与えた。最速は140キロ台前半だった。
自分自身に求めているレベルはもっと上にある。「なかなか修正できなかった。抑えることはできましたけど、チームの勢いを止めてしまった」
選抜では豊川(愛知)、熊本国府と2試合連続で完投した。県立校として唯一、準々決勝に進出。昨秋の神宮大会王者・星稜(石川)に敗れはしたが、8回1失点と好投し、強豪の私学校を相手に強烈な印象を与えた。
ただ、決して自分の力があるとは思っていない。大会後に選ばれた日本代表候補合宿では、世代屈指の投手たちに圧倒されたという。
「キャッチボールから違った。広陵の高尾響(3年)は『これはショートバウンドになるかな』っていう球も、普通にノーバンで飛んできた。ほんまに衝撃を受けたっていうか、これはかなわんなってめっちゃ思いました。(兵庫・報徳学園の)今朝丸(裕喜)も間木(歩)もそうですけど、 ああいう選手こそ人間性がすごくよかった」
この日、高尾から伝授された変化球は使わず、次戦以降に温存した。「自分たちは選抜に出たけど四国大会(準決勝)で負けた。チャレンジャーという気持ちをずっと持っている」
先を見据えれば体力の温存も必要になるが、試合では果敢にセーフティーバントも狙い、全力疾走を続けた。普段から投手と野手のメニューをこなす背番号1の5番打者。「足を使えば勢いが出る」と、チームを一番に考えた結果で出たプレーだ。
2018年の第100回大会で活躍した金足農(秋田)のように、甲子園で公立校が勝ち上がる姿を、地元に見せたいという思いが強い。試合後、球場の外では応援に来た小学生たちに笑顔で対応していた。
「自分たちが勇気を与えたい。ちょっとでも活躍して、小さい子どもの野球人口が増えたら1番ベストかなと思っています」=むつみ(室田賢)
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