第106回全国高校野球選手権群馬大会は20日は3回戦4試合があった。春の選抜大会王者・健大高崎は延長十一回タイブレークの激戦で桐生第一を下し、準々決勝に進出。前橋商はコールドで勝ち上がり、高崎経済大付と前橋東はともに接戦を制した。21日も3回戦4試合がある。

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 桐生第一の主将・木立東真(3年)は試合中、ズボンのポケットから写真を取りだした。6月にあった常磐との練習試合後に撮った3年生部員の集合写真。群馬大会でベンチに入れないメンバーの引退試合だった。

 「こいつらのために、絶対に頑張らないと」

 かつて全国を制覇した桐生第一には甲子園を目指して多くの部員が集まる。ベンチに入れなかった3年生らは練習のサポートに回る。昨夏に勝った相手と再び相まみえることが決まり、木立たちはベンチ外の仲間の力も借りながら、守備のポジショニングや好機をものにするためのサインプレーを磨いてきた。

 この日、スタンドにいる仲間の大声援を受けた選手たちは「お守り」の写真をたびたび見返し、その存在を自信に変えた。木立も七回に適時打を放つと、九回には勝ち越しの本塁を踏んだ。春の王者に「何回も負けたと思う瞬間があった」(健大高崎の青柳博文監督)と覚悟させた。

 試合後、悔しさを隠さなかった木立。「でも」と言い、続けた。「あれだけの応援をしてもらったおかげで流れが何回も変わった。みんながいてくれたから、こんな接戦ができた」(中沢絢乃)

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 三回途中から救援した常磐の中里颯太。昨秋の背番号は1だった。

 髪形が自由の常磐。春先までの中里は、前髪を目の下まで伸ばしたマッシュルームカットだった。しかし、ある日突然、丸坊主で帰宅した。「驚きました」と母聡子さん(45)。今春の大会でエースナンバーを失い、自分に気合を入れるために丸刈りにした。

 最後の夏も背番号は10だったが、「エースは自分」と自負していた。2回戦の勝利後、「次もエースとしての投球をします」と笑っていた。だが、コーナーを狙った球は外れ、カウントを稼ぎにいった甘い球を痛打された。まさかの5回コールド負けだった。

 試合前日に父に刈ってもらった丸刈りの頭をうなだれ、背番号10の「常磐のエース」が球場を後にした。(抜井規泰)

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