(20日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会準々決勝 東海大相模13―1日大藤沢)

 3点をリードされ迎えた三回表、先発に代わりマウンドに上がった日大藤沢の西沢沖(3年)にとって、東海大相模との対戦には特別な思いがあった。

 昨秋の県大会では、東海大相模に0―5で敗れた。その日登板機会のなかった西沢は、自分が出られずチームが負けたのが悔しかった。

 その後チームのエースに成長し、ようやく実現した対決。内角を攻め、県内屈指の強豪のスコアボードにゼロを並べた。五回には1死二塁のピンチを招くも、後続を中飛、遊飛に打ち取ると、表情を変えず拳を握りしめた。「1点もやらず、流れを持ってきたかった」

 打撃でも六回裏、最速150キロに迫る速球を誇る東海大相模の先発、藤田琉生(3年)の癖を見抜き、狙い球を中堅手の頭上へ運び、チーム唯一の長打を記録した。

 しかし、直後の七回表、東海大相模打線につかまった。先頭打者への死球から、適時打などで2失点。「まだいける」と思ったが、八回に交代を告げられた。

 チームは八回裏に1点を返すも、九回表に東海大相模の猛攻にあい大敗。昨夏から4季続けて準々決勝で姿を消した。「厚い壁に阻まれました」

 東海大相模の原俊介監督は試合後、「西沢君が良いピッチングでなかなか点を入れられなかった」と語った。待ち焦がれた試合で、強豪相手にたしかな爪痕を残した。(中嶋周平)

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