(第106回全国高校野球選手権南北海道大会決勝 立命館慶祥4-6札幌日大)

 五回を終え0―6。グラウンド整備が始まると、立命館慶祥の滝本圭史監督が選手たちに語りかけた。

 「(夏代表の)いすを簡単に明け渡していいのか。意地を見せようぜ」

 その言葉に、横谷塁選手(2年)は落ち着きを取り戻した。準決勝で4打数無安打、この試合も2打席凡退と、1番打者の役割を果たせていなかった。「打ちたい気持ちで体が前に出てしまい、バットが出ていなかった」

 七回、3点をかえし、打席が回ってきた。内角の変化球に突っ込まずにバットを振った。中前適時打となり、塁上で笑顔を見せた。

 右翼の守備でも好守を連発した。七回はライナー性の打球を好捕し併殺を完成。八回もダイビングキャッチを決めた。

 昨秋、地区大会初日の第1試合に敗れた。数日間、練習が手につかなかった。「おれら最弱世代」。主力選手の間でそんな言葉が漏れた。

 チームはこの夏、一変した。冬場に筋力トレーニングと打撃強化を図り、チーム内を「立」「命」「館」の三つにわけて競い、選手層の厚みが増した。

 最弱の名は返上した。「3年生の本気の姿に学んだ。悔しさを秋にぶつける」。閉会式後のベンチで2年生が集まり、再度の躍進を誓った。(古源盛一)

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