(23日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会準決勝 武相1―2横浜)

 昨夏の神奈川大会決勝、横浜はあとアウト2つで甲子園への切符を逃した。当時、二塁手だった峯大翔(3年)は、ずっと責任を感じていた。自身の捕球の体勢が乱れ、送球がわずかにそれたことが、流れを変えたオールセーフの判定につながったと考えたのだ。「最後まで何があるか分からない怖さを学んだ」

 冬期に2カ月間、ケガで打撃練習ができない時も、「捕球の体勢を一から見直して、誰よりも守備練習しました」。

 再び夏の頂点を目指すなか、春の県大会後に監督から「バッティングが非力」と指摘された。悔しくて、練習が終わると試合に出ない3年生に投手をしてもらい、「しっくり来るまで振り込むのが日課」となった。そのおかげで、準決勝では「やってきたことを出すだけ」と心が軽かった。

 この日、同点で迎えた九回2死。「去年みたいに何があるか分からない。がむしゃらに食らいつこう」。低めの直球を振り抜き中前に運んだ。最後は後輩の適時打でサヨナラのホームを踏み、満面の笑みを浮かべた。

 自身は1年時に甲子園に行き、ベンチ入りした。「甲子園は『聖地』と言われるけど、人生が変わる場所。もっと存在感を発揮して、後輩を連れていけるように頑張ります」と話し、つばの裏に「One for all 一つの束」と書かれた帽子をぎゅっと握りしめた。(手代木慶)

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