(25日、第106回全国高校野球選手権高知大会準決勝、中村0―4高知)

 4点を追う九回表、中村の先頭打者、芝海斗主将(3年)はセンター前ヒットで出塁すると、一塁ベース上からベンチに笑顔を送った。「まだ終わっていないぞ」という気持ちを示したかった。

 中村の選手は、「1球の重み」を知っている。

 2年前の夏の大会準決勝の高知戦。九回裏2死まで1点リードしたが、連打を浴びて逆転負けした。

 昨年夏の2回戦、明徳義塾戦でも九回裏2死まで1点リード。同点に追いつかれ、延長で敗れた。いずれも相手を「2死ツーストライク」まで追い詰めていた。

 芝主将は、この2試合に出場した。新チームの結成時、自分から「主将になりたい」と申し出た。3年生や監督の賛同を得た。

 昨年夏の明徳義塾戦では投手だったが、肩やひじを痛め、その後はあまり投げられなかった。春の大会は初戦敗退。県体育大会は予選で敗れた。

 悔しかった。3年生6人で、朝6時から学校のグラウンドで朝練を始めた。7時からは下級生も参加した。「その成果が出たと思う」。

 今大会の準々決勝では芝主将が投げ、第4シードの岡豊をコールドで破った。

 この日の試合、先発は芝野遊(のあ)投手(2年)。3点を追う六回から芝主将が登板し、八回まで1失点に抑えた。

 試合後、芝主将は「今日は完全に力負け。悔しいけれど、一方的にやられたので、高知はさすがだなと思った」と話した。

 そして、続けた。

 「けれど、最後の夏にシード校を破って4強まで戦えた。2年生につながる試合ができたと思います」(蜷川大介)

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