パリ五輪が開幕 開会式はスタジアム外で初開催
開会式 韓国選手団を「北朝鮮」と紹介のトラブル
開会式 五輪旗を“上下逆さまに掲揚”
開会式 闘病中のセリーヌ・ディオンさんが熱唱
TGV沿線施設で火事 警戒感高まるも開会式は混乱なく
国連事務総長“あらゆる紛争の休戦”呼びかけ
ウクライナ選手団が会見
なでしこジャパン 清水梨紗 けがでチーム離脱
日本選手団は全体の93番目に登場し、旗手を務めるブレイキン男子のダンサーネーム「Shigekix」、半井重幸選手とフェンシングの江村美咲選手などが川沿いに集まった観客に笑顔で手を振っていました。パレードの最中にはアメリカの人気歌手、レディー・ガガさんの歌や、パリの老舗キャバレー「ムーラン・ルージュ」のダンサーたちによる踊りなども披露され華やかな雰囲気で大会の盛り上げにひと役買っていました。選手たちのパレードのあと、エッフェル塔近くのトロカデロ広場では式典が行われました。この中でIOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長が「オリンピックの魔法を世界全体で分かち合うために、パリほどふさわしい場所はない」などと挨拶しました。そして、フランスのマクロン大統領の開会宣言で17日間の大会が幕を開けました。
注目の聖火リレーはサッカーの元フランス代表のジネディーヌ・ジダンさんのほか、オリンピックで9つの金メダルを獲得したアメリカのカール・ルイスさんなど往年の世界的なスター選手が次々と登場してつないでいきました。
最後は柔道男子100キロを超えるクラスでロンドン大会とリオデジャネイロ大会を連覇したテディ・リネールさんと、陸上女子400メートルでバルセロナ大会とアトランタ大会を連覇したマリージョゼ・ペレクさんが気球のような形をした聖火台に2人で点火すると聖火台は空へと浮かび上がりました。
大会は8月11日まで行われます。
26日の開会式では、選手たちが船に乗ってセーヌ川をパレードし、船の通過に合わせて国や地域の名前が順番にアナウンスされました。しかし開会式が始まっておよそ1時間後、韓国の選手団を乗せた船が通過した際、北朝鮮を指す「朝鮮民主主義人民共和国」とフランス語と英語で相次いで紹介されました。船に乗っていた選手たちの多くはアナウンスの誤りに気付かなかった様子でしたが、韓国の通信社、連合ニュースは「数万人の観客に韓国が『北朝鮮』として紹介される恥ずかしい失態だ」と伝え、反発しています。
「近代オリンピックの父」とも呼ばれるフランス出身のクーベルタン男爵が考案したオリンピックの旗には、5つの大陸の団結などを表現するために上に青、黒、赤の3つの輪が、そして下に黄色と緑の2つの輪が描かれています。雨が降りしきる中行われた26日の開会式では、馬を下りた騎手から軍の関係者に旗が手渡され、オリンピックの賛歌に合わせて厳かに掲揚されましたが、旗は上に2つの輪が、下に3つの輪が配置される上下逆さまの形になりました。掲揚台周辺の関係者は誰もこの誤りに気付かず、式典はそのまま進行しましたが、SNSなどでは異例のハプニングとして話題となっています。
かつて映画「タイタニック」の主題歌を歌ったカナダ人歌手のディオンさんは、筋肉の硬直などの症状が出るまれな病気『スティッフパーソン症候群』にかかったことを明らかにし、闘病のため、ツアーなどの公演を取りやめていました。26日に行われたパリオリンピックの開会式の終盤、ディオンさんはエッフェル塔に設けられた舞台の上に姿を見せ、フランスの国民的歌手、エディット・ピアフさんの「愛の讃歌」を、持ち前の美しい歌声で力強く歌い上げました。ディオンさんがファンの前で歌を披露したのは4年ぶりだということで、集まった人たちからは大きな喝采が送られ、地元メディアは「すばらしい復活を果たした」などと伝えています。
開会式を前にセーヌ川で行われるパレードのスタート地点の前にある船乗り場では、各国や地域の選手が続々と集まり乗船を始めました。日本選手団も開会式に参加する選手100人余りが用意された船に乗り込みました。開会式で旗手を務めるフェンシングの江村美咲選手は「どんな入場行進になるのか想像もつかないので楽しみ。これまでたくさんの方々に支えられてきょうを迎えられるので感謝の気持ちを持って日本代表として堂々と旗手を務めたい」と話していました。また、ブレイキン男子のダンサーネーム「Shigekix」、半井重幸選手は「日本で応援する皆さんにとっては、オリンピックが始まったと実感する瞬間になる。こんな光栄な役を務めるのは楽しみでうれしい。これまでの道のりが長かったので、これまでとこれからをいろいろ考えながら胸を張って旗を持ちたい」と話していました。
開会式当日にフランス国内の高速鉄道TGVの沿線の施設が相次いで燃え、当局が鉄道網をねらった組織的な犯罪とみて捜査を進めるなど会場周辺を中心に警戒感が高まる中、4時間あまりにわたった開会式は大きな混乱無く終わりました。
国連総会では、パリオリンピックの開幕7日前の今月19日から、パリパラリンピックの閉幕7日後の9月15日までの期間、世界のあらゆる紛争の休戦を呼びかける決議を採択しています。国連のグテーレス事務総長はビデオメッセージで「オリンピック休戦の精神にのっとり、すべての人に武器を置くよう呼びかける。橋を架けよう。連帯を育もう。そして、究極の目標であるすべての人の平和を目指して全力を尽くそう。オリンピックの聖火が平和と調和の世界への道を照らしますように」と訴えました。
ウクライナではロシアによる軍事侵攻で25日までに選手やコーチなど487人のスポーツ関係者が死亡し、パリ大会に出場する選手は、夏のオリンピックでは過去最も少ない140人となっています。ウクライナの選手団はパリ大会の開会式を控えた26日午後、パリ市内のメインプレスセンターで会見しました。ウクライナオリンピック委員会のフトツァイト会長は「日々、ミサイルが飛び交い、住宅などが攻撃を受け子供たちの命が失われている。ウクライナの代表選手は戦争を経験し、友達、親戚、両親など大切な人を亡くした選手ばかりで国の独立のためにスポーツで戦ってくれていることに感謝している。パリ大会では勝利への意思を世界に示す」と話しました。一方で、『AIN』と呼ばれる「中立な立場の個人資格の選手」として参加するロシアとその同盟国・ベラルーシ国籍の選手との接触については「ロシア勢に対してはあいさつもせず、存在しないものとして考えている。我々に“平和の祭典”は存在しない」と話し、オリンピックの場であっても政治とスポーツを分けた対応はできないとする考えを強調しました。また、2008年の北京オリンピックのフェンシング女子サーブル団体で金メダルを獲得したオリハ・ハルラン選手は、5回目のオリンピックとなるパリ大会について「いままで出場した中で最も大変な大会になる。メダルを獲得したら私たちの家族を守ってくれている軍の人たちに捧げたい。ウクライナの強さと自由を代表し、メダルを獲得できるように全力を尽くす」と大会に向けた決意を示しました。ウクライナ選手団は陸上やボクシング、新体操、レスリングなど26の競技に参加する予定です。
サッカー女子の日本代表「なでしこジャパン」の中心メンバー、清水梨紗選手がけがのため、チームを離れることになりました。清水選手は25日に行われた予選リーグ初戦のスペインとの試合に先発出場しましたが後半20分すぎ、相手の選手にかわされた際に右足をおさえて倒れ込みそのまま担架で運び出されて交代となりました。次のシーズンからプレーするイングランドスーパーリーグのマンチェスターシティーは「膝を負傷したことを確認した。清水選手はクラブに戻りメディカルチームによるさらなる検査を受ける予定だ」としています。清水選手は協会を通じて「大会が始まったばかりのタイミングでチームを離れるのは残念で、すごく悔しいですが、まだオリンピックは続くので、気持ちは一緒に戦い続けたいと思います。ここからさらにタフな試合が続きますが、金メダルという目標に向かって、みんなにはこれまで準備してきたことを最大限に発揮してもらいたいです」とコメントしています。
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