(27日、第106回全国高校野球選手権静岡大会準決勝 聖隷クリストファー3―2静岡)
古豪の浜松商、掛川西で春夏通算8回甲子園に導いた聖隷クリストファーの上村敏正監督(67)は静岡を相手に九回表に勝ち越し、聖隷の初優勝をかけて29日の静岡大会決勝に駒を進めた。
この日は1点を追う九回表の攻撃で、上村監督は「失敗を怖がらずに打ってきなさい」と伝えた。1死二塁で打席に向かう稲岡輝太選手(3年)に、井上侑主将(3年)は伝令で指揮官の「何のために今までやって来たんだ、思い切って打て」との言葉を伝えた。その助言が力となり、稲岡選手は同点となる適時二塁打を放ち、劇的な逆転につながった。
試合後、被安打4で四回以降は無失点で完投した袴田行紀投手(3年)については「この間の試合(準々決勝)は悪かった。昨日の練習もあんまり良くなかった。今日は何とかなるかというなかで、初回に点を取られた。あの子のパターンで、崩れそうで崩れない、点を取られそうで取られない、打たれそうで打たれないで最後まで行ってしまう」と解説付きでほめたたえた。
上村監督は公立高の監督を歴任後、聖隷クリストファーの監督として迎えられた。聖隷はコロナ禍の2020年の県独自大会で優勝したが、甲子園の出場経験はない。今大会はノーシードを勝ち進み、悲願の初出場まであと一勝まで迫った。
対戦相手はかつて指揮した掛川西に決まった。「そこ(甲子園)まではとても考えていなかったことだけど、ここまで一生懸命、頑張った結果が結びついた。次はとにかく、どっちに転ぶか分かりませんから、一生懸命やる。掛川西は私がいた学校ですから、良い試合ができたら」と話した。(田中美保)
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