(28日、第106回全国高校野球選手権兵庫大会決勝 明石商0―4報徳学園)

 昨夏準優勝した明石商は、新チームで迎えた昨秋の県大会2回戦で敗退した。山内一真主将(3年)は甲子園を逃した悔しさがチームのなかで足りないと感じた。

 「悔しさはないんか?」と仲間に問い続けた。試合に出場していない主将だったが「出ている出ていないは関係ない。勝つために何ができるか」と考えた。練習の姿勢や生活態度で模範になれるように努めた。

 主将の言動に、チームは徐々にまとまっていった。今年の春季県大会は3位。今大会も堅い守りから終盤に逆転して勝ち上がった。

 「先輩のリベンジ」と挑んだ決勝。スタメン出場の山内主将は膠着(こうちゃく)した展開で迎えた三回、「どんな形でも出塁してやる」と、高めに浮いた直球を右前にはじき返し、おたけびをあげた。犠打と安打で2死一、三塁とした。だが得点できなかった。その後もチームは安打を記録したが本塁が遠かった。

 山内主将は「昨年悔しい思いをして。今年は甲子園に行きたかった」。グラウンドで堪えていた涙は、仲間と抱きあったときにあふれた。

 狭間善徳監督は試合後、「毎日正しく、こつこつ続けられたからここまで来られた。リーダーがしっかりしないと組織はうまくいかない。良い主将だった。よくやってくれた」とたたえた。(原晟也)

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