第106回全国高校野球選手権香川大会は27日、英明が高松商との接戦を制し、2年連続4度目の夏の甲子園出場を決めた。熱い戦いを担当記者が振り返る。

 37校36チームが出場した大会を制したのは、昨年に続いて英明だった。少ない好機でも得点を重ねる「英明らしさ」が今年も全開だった。

 高松商との決勝は、集大成とも言える試合となった。一回、重盗で好機を広げると、丸與のスクイズで先制。同点の七回には相手の失策や暴投に乗じ、再び丸與のスクイズなどで勝ち越し。1点差で勝利した。

 チームの安打数は高松商(8本)の半分のわずか4本。今大会の全5試合でのチーム打率も2割6分2厘と高くない。勝利の秘訣(ひけつ)は、試合の勝負どころを見極め、2ストライクからでも犠打など小技を果敢に仕掛け、得点を重ねる闘いぶりだ。

 投げては主将でエースの清家が要所を締める投球で、10奪三振145球の完投勝利。全5試合でチームの失点はわずか5。清家が言う「守り勝つ野球」が体現されていた。

 2年ぶりの夏の甲子園出場を目指した高松商は、準決勝までの4試合で35得点、チーム打率は3割7分8厘の強力打線で勝ち上がってきた。

 投手陣はエース佐藤や大森など140キロ超の投手を複数擁し、盤石とみられていた。ただ、佐藤は準々決勝の香川中央戦で連続四球を与えるなど自ら崩れた。大会を通して、安定した柱となる投手を終始見つけることができず、采配に迷いがあったようだ。長尾健司監督は決勝後、「(勝敗を分けたのは)1人で投げきった英明の清家投手とうちの差だった」と語った。

 高松商以外の公立校の躍進が光ったのも今大会の特徴と言える。

 高松東は2年生投手の森井を中心に45年ぶりに4強に進出。丸亀は優勝候補とされていた尽誠学園を初戦で破った。三本松は田村、川崎バッテリーを中心に、勢いに乗る丸亀を下し、3年ぶりの4強に駆け上がった。

 今大会では、春の選抜大会から本格導入された新基準の金属製バットの影響も注目された。投手のけがなどの事故を防ぐため反発性能を抑えた新基準バットの使用で「今までより打球が飛ばなくなった」という声が各校で聞かれた。

 実際、全35試合のうち、本塁打は高松東の佐々木が高松商戦で放った1本のみだった。旧基準バットならスタンドに入っていたであろう高い軌道の打球がフェンス前で失速する場面が多く見られた印象だった。

 高松東の森井を初め、英明の植上、高松商の山田、高藤、大手前高松の松岡、高橋など、1、2年生の活躍も今大会では注目された。夏以降の成長が楽しみだ。(和田翔太)

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