第106回全国高校野球選手権富山大会(朝日新聞社、富山県高校野球連盟主催)は、富山商の連覇で幕を閉じた。決勝は昨夏と同じ顔合わせ。富山商は終盤に底力を発揮し、5点差をひっくり返す大逆転で18回目の甲子園切符をつかんだ。
選手権は8月7日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で始まる。富山県勢は全国で唯一、4強に進んでいないことは前崎秀和監督も選手も意識しており、チームの目標でもある。勝敗にはいろいろな要素が絡むが、目標に向かって調整してほしい。
夏の大会としては初めて、低反発の新基準バットが導入された。選手からは「飛ばない」「ポテンヒットになっていた打球が内野フライになる」などの声が聞かれた。
その影響で、外野手が以前より前で守るチームが目立った。長打が出にくくなった分、1点の重みは増しており、ある指導者は「1点が、昨年までの2点に感じる」。大量得点が難しくなったことで、走者を得点圏に進めるバントの成否が今まで以上に試合を左右するだろう。今大会スタンドに入った本塁打は4本。うち2本を放った魚津工の斉藤礼恩(れおん)主将(3年)の打撃が光った。
今大会は43校40チームが参加した。それぞれに目を向けると、2年連続準優勝の富山北部の勝ち上がりは見事だった。1回戦から決勝までの6試合は接戦が多かったが、エース福山天輝(てんき)投手(3年)の力投、好機に確実に加点する打線の勝負強さは際立っていた。
4強は高岡第一と、初の準決勝進出となった未来富山。高岡第一は大門穂高投手(3年)の懸命な投球が胸を打った。未来富山の江藤蓮投手(2年)は雷による中断でリズムを崩して点を奪われた。この試合を糧に来夏を目指してほしい。
富山中部、新湊、第1シード・高岡商を破った石動など、夏に照準を合わせた好チームもあった。3年生の活躍は後輩に伝わるだろう。また、球児が減少する中、富山西・呉羽・伏木の連合チームが、シード校の高岡を破った。連合チームは今後も増える可能性があり、チームづくりの参考になりそうだ。
未来富山、富山第一など下級生が先発に起用され、活躍したチームもある。成長が楽しみだ。(前多健吾)
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